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2009-02-18

『雨、流して。』


『雨、流して。』


漫ろと降りしきる雨の中、淡々と彼女は過ごしていた。
感傷に耽ることもなく、それはもう、この世に何も色がないかのように。

「第一、雨が降るだけで気分なんか変わるわけ無いし。」

彼女はそう言う。
僕としてはそう思わないのだが、それではあまりにも悲しい。
何が、ここまで綺麗な―あくまで僕が思う―彼女は捻くれさせたのか。

ただ、放課後の教室の中で、僕と彼女は沈黙の中で佇んでいた。

「アンタ、帰らないの?」
「うん。」

後悔する、ああ、もっと気の利いたことは僕は言えないのかなって。
相変わらず、彼女の目は何も見ていない・・・話しかけた僕にも、多分。

最初の頃は、そうは感じなかった。
入学式の時に、キレイな人だなぁ・・・ってぼんやり見とれてたぐらい。
直感的に高嶺の花なんて言葉がよぎるくらい、凄かったんだ。
同じ中学から来た友達にバカにされたけど。

それぐらい、別にどうという関係でもなかったんだ。
それでもって、それから一年経った今、彼女は僕の傍にいる。

「ちょっとは喋りなさいよ。」
「っああ! ゴメン・・ちょっと考え事しててさ。」
「ふ~ん・・・ま、良いんだけど。」

・・・そう、何がどうなったのかよく分からないんだけど
不思議なことに彼女の方から、僕に関わってきたんだ。
昼休みになって、さぁ僕は弁当でも食べようかなってしてるときに
いきなり、僕の席の前に来て「ちょっと来て。」って言い放つんだもん。

その時に、彼女は学校で・・所謂アイドルみたいな感じだった。
誰からにでも人気はあるし、成績優秀スポ-ツ万能って言う才女?っていうのかな。
そういう人が、クラスでは地味の一途を辿り(女子には可愛いと評判、嬉しくない。)
取り立てて、良いところもない僕に突然来てって言うものだから、クラスは沸いたんだ。

「静かにして、先生が来る。」
「ねぇ・・僕は何をしたらいいの?」
「私に教えて欲しいんだ。」

まさに鶴の一声って言うか「静かに」っていうたった一声で
クラスのざわざわが収まって、僕の腕を掴んでクラスから出たんだ。
連れていかれるままに屋上まで連れて行かれて、言われた一言。
「ねぇ、彼女とか居る?」・・・正直、僕は何を言ってるのかが分からなかった。

え、それは君が僕に・・って事なのかな?とか、自分勝手な思いが頭を巡る。
そしたら、彼女は「今、あなたはどう感じたかは知らないけど・・・」って言って
「色が有る無しってだけで、それだけで大事な事ってあるのかな?」って。
何を言ってるのかが分からなくて、僕は何度も訊ね返した、けど教えてくれなかった。
「生きてるところに、色が・・・」って言うだけで・・・。

「大声を上げないで・・・去年のこと?」
「うん、僕は何度も訊いたのに、君は教えてくれなかった。」
「アンタは・・私に何か感じてるところがあるんじゃないの?・・それが答えよ。」

それから、そのあと彼女は僕にひっつくようになった。
どこにいても、彼女から寄ってきて何事もないかのように傍にいる。
「付き合ってるの?」とかも聞かれたけど、彼女が先陣切ってなんにもない、って
堂々と言う物だから、全部の質問は気の弱そうな僕一人に来るように・・・と思ったけど

いつでも、彼女が傍にいる物だから、僕に訊こうとしても、彼女が答えちゃう。
これにはどうにも訊く方も神経を磨り減らしたみたいで、次第に訊かれなくなってきた。
そっちの方が安心していられるようにはなったんだけど、ずっと彼女が傍にいる。
ということだけが、やっぱり落ち着かないわけで。

「色がないって・・・見られてないの・・・?」
「そう、無いの、なんにも・・・リンゴは赤、茄子は紫・・そんなのは知ってる。」
「・・・そっか・・・でも、なんで僕なの?」
「アンタ、私にとっては新しいタイプだったのよ、それで。」

・・・そうして、教室の中で淡々と喋ってた。
内容なんか、全然色恋でもなんでもない、彼女が違うことを考えている。

「・・雨、止んだね。」
「・・・・前言撤回、やっぱ気分は晴れるわね・・晴れると。」
「うん・・じゃあ、行くの?」

スカートを翻して、彼女は颯爽として教室から出て行く。
僕はすぐさま鞄を掴んで、その後を追いかける。
彼女の鞄と、そして、筆を。

彼女は、微笑んでいた。
きっと、降っていた雨が何かを現れさせたんだろう。
それでも、やはり彼女は変わらない・・そんな彼女に僕は憧れを抱いているから。
こんな僕に、彼女は普遍を求めているのだから。

―退屈って、イヤね。

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