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2009-02-18

『歪み行く中で・・・【流景】』


          『歪み行く中で・・・』

   【流景~1~】

さて。
ドコから話したほうがいいのだろうか・・・・この。

魔界のような状況を。



とりあえず、あの戦いのあと。
微妙にまどろみ掛けていたミナちゃんを背負い
自分の家まで案内させたところ・・・・

どこからどう見ても一階建てのプレハブ建築な訳で。

―鉄筋が、珍しいのだろうなぁ・・・きっと。

ちなみに言うと、周りはテントやコテージだ。
いったい何なんだ?この差は?・・・

そんなことを思っていても仕方ないし、とりあえず家の中に入ろうとして・・
後頭部に強烈な痛みがあった後・・・倒れたのか?

・・・どうも、そこからの記憶がない・・・何があったんだ?

最近、俺ってよく記憶があやふやになるなあ・・・歳か?・・・まさか。

そして、辺りを見渡せば、やけに豪華そうな装飾が煌びやかに。
しかし、それもどこか上品さが漂う訳でもなく・・・寧ろ幼稚さが感じられる。
その中で、何故かは知らないけどベッドに寝ている俺。

さっきから、気を抜けば目がチカチカするほど眩しい・・・
う~ん・・・決して趣味が悪いとかそう言うのではなくて・・・何だ?

いや、と言うかそこは問題ではなくて。
見た感じ・・・この部屋にはベッドが一つしかないように・・・思えるけども。

―昨日(今日?)の記憶があってれば一部屋分ぐらいの大きさの家だったはず・・・

ちょっと待て?・・・少し、再確認しようか。

俺は?―御諏村だ。
ここは?―地球らしいな・・・ミナちゃんの話だとそうらしいけど。
この部屋は?―ミナちゃんの家・・・なのか?
じゃあ、肝心要のミナちゃんは?―・・・どこだよ?

―探すか・・・

で。

探すとなると、やはり今寝ているベッドから降りなくてはいけない訳で。
そしたら、ベッドに手を置いたときに。
むぎゅっ・・・・なんて音がしたものだから。
やっぱり・・・とか思って、その手の先を見る訳ですよ。
視線の先にはミナちゃんがいた訳で。
ついでに言うと、俺の手はミナちゃんの・・・その、胸の、辺りに、ある訳でして・・・
さらに言うと、ミナちゃんの目がウルウルと潤んでいる訳でして。
そして、必死に泣くのを堪えた声で、一言。

「カタミ、言い残す事って・・・ないよね?」

本気で書いてマジと言うよりは、必死と書いてマジという方が
より的確な気がするほど、怖いんですけどミナちゃん・・・

「じゃあさ、一つだけ」
「な~に?」

・・・。
で・・・この状況を一人で打破するのですか?
雰囲気的に・・・どう言っても打破は不可能だと思うんだ・・・
せめて・・・言わせてくれ・・・

「せめてさ、下着ぐらい着けようよ・・・」
「・・・うん、分かった。・・・そんなに死にたいんだね♪」

―うっわ~・・・お約束だね☆

そんなことを、脳裏に浮かべながら・・・
吹っ飛んでいる俺がいたとさ・・・




「・・、・・・タミ、カタミ」

何だかアレだな・・・ついさっき、不可抗力で触ってしまったのだが・・・
妙に意識してしまって・・・って、ミナちゃん子供じゃないか・・・
なんで、意識する必要があるんだ?・・・別にいいじゃないか・・

「カタミ~、起きてよ~、さっきはゴメンってば~」
「あぁ~、起きてるから生きてるから、大丈夫」

でも、それを本人の目の前で言ったら殺されるだろうけど・・今度こそ本当に。

ていうか、俺、本当によく生きてるなぁ・・・
少なくとも、6種類ぐらいの攻撃魔法を喰らった気がするのに・・

で。

「ミナちゃん」
「ん、な~に~?」
「顔がさ・・・痛いんだけど、これはどうして?」
「・・・・それは・・・・あの、えっとね。」

なぜ、黙る?・・ていうか、何でうつむくかな・・・
何か、理由があるのか?・・・・

「なんかね、カタミがいつまで経っても起きないから・・・」
「から?」

・・・あ。
予想は付いたが。

「だからね、こう・・・」

そうして、黙ったまま、自分の胸の前で右手を横に振るミナちゃん。

「・・・で、顔が腫れるまで往復ビンタを喰らわせたと。」
「うっ・・・うん、まぁ、そういうこと・・なんだけど・・」
「・・・暴力的・・・で、合ってるのかな。」
「違うもん、それは違うよ、カタミ。」

何をそんなに否定するのか分からないけど・・・

「え~っと・・・何が違うんだ?」
「だって・・・だって私お嬢様なんだよ!?・・レディなんだよ!?」
「あ~・・はいはい、分かったからって・・」

お嬢様って言われてもねぇ・・・って、お嬢様?

やけに煌びやかな装飾の家。
村人達から「あそこの娘はねぇ・・・」と、言われていたし・・
周りとは段違いに耐久度が違う家。

・・・あと、私服が妙にフリフリな点か。


「ていうか、マジでお嬢様?」
「うん、そうだけど・・・信じてなかったの?」
「ああ、全く、これっぽっちも。」

当たり前だ。

「ふぅ~ん・・・まっ、別に良いんだけどね。」
「何が良いんだか・・・で、ここってミナちゃん家?」

さっきから気になってた事を訊いてみる。

「ん、そうだよ~。」
「そ、そっか・・・」
「でもね~・・・」
「な、何だ・・・・・何があるんだよ・・」

そこはかとなく嫌な予感がするのは何故だろう・・・・
ああ、変なことを言いませんように・・・

「あと30分で、この村を出なくちゃいけないんだよね~♪」

その言葉は。
俺の中にあった希望という名の灯を消すのには充分すぎる程。

冷たく、容赦ない言葉でした。

「マジデ?」
「うん、マジで。ちなみに変更とかないから。」
「ドッキリとかそんなんでもなく?」
「こんなタチの悪いドッキリなんかする訳無いでしょ。」

ちなみに、本当にマジらしい・・・



   【流景~2~】

さ・・30分?

「ちなみにさ、ここから出るのにかかる時間は?」
「あ~、それはね、20分。」

いや、それはつまり休む暇もなく今から急がないといけないのでは・・・
一応、それでも余裕を持ってとか、ハプニングに備えてとか。
つうか、さっきから走りっぱなしだったから・・・って。

「そういやさっきから気になってたんだけどさ・・」
「何?」
「なんか、妙に疲れづらくなってんだけど・・・これってなんかの影響か?」
「それ・・・カタミのクラスの特性だと思うよ?」
「はぁ?・・・いや、まてよ。」

特性ってことはそれ特有ってことだから・・
狩人、狩人・・・そうか、英語だとハンターか。
そりゃ、獲物捕るときに「疲れたから、ヤメ」なんて言わないもんなぁ・・・

「あぁ、そう言うことか。」
「それでね・・・あのね、カタミ。」
「何だ?」

ちょっと・・・何でそんな複雑な顔してるんですか?

「そんなことはね、また後で教えてあげられるんだけどね。」
「まぁ、今理解したけど・・・それがどうした?」

さっきたっぷり考えたことを「そんなこと」で片づけられたのは・・・まぁいいか。
それで、一体何が言いたいのだろう。

「分かってもらえたのは嬉しいんだよ。・・・でもね、時間のこと、忘れてな~い?」
「時間・・・あ。」

忘れてた。

「なにが「あ。」なのよ!、すっかり忘れてるじゃない!」
「ゴメンゴメン・・って謝ってるから、叩くな叩くな足を叩くな痛いから!」
「ふーんだ、先に行っちゃうもんねぇ」
「ちょ、ちょっと待てって!」

いつの間にか背中に持っていた大きめの杖っていうか、長い杖に跨って
宙に浮かんで・・・って。

(・・・でも、そんなに高く飛べないんだぁ・・・)

見間違いじゃなけりゃあどう見ても2メートルぐらいしか浮いていない気がする。
でも、いくら高さは低くてもやっぱそこは魔法なのか魔術なのか分からないが
普通に速いし。でも、高度は低いけど。
それも、しつこくこっちを向いてアッカンベーしてくるし。

だけどやっぱり、高度は低いけど。

そもそも、俺が追いつくので精一杯だし・・・しかも全力疾走で。
本当に狩人で良かったと思う・・・つくづくそう思う。

でも、走るのに精一杯で今喋ると・・・後が疲れるだけか・・

走っている内に、視界の中に町並みがだんだんと無くなっていって
東西南北が分からないような荒野の中をひた走っている俺。

その先の方を、まだ怒っているみたいだけど
さっきよりはスピードはゆっくりになったミナちゃんが飛んでいる。

「カタミ、反省した?」
「な!?・・ああ、反省したから!、そろそろゆっくり行かないか!」

必死に声を出すけど、これはマジでヤバイかも・・・息切れで。
これで許してくれなかったら、本気で死ぬかも知れない。

「は~い、許してあげるから・・・わかった。」

よかった。許してもらえた~。
いや~、実はかなり優しい子だと思い直す。

さっきまで、あり得ないほど俺が原因でハプニング起きたのにね。

さて。
確かにさっきまでは俺の前の方を飛んでいたはずなのに・・・
少しずつ、減速をしていったのは覚えてる・・・けど。
ふと気づけば一瞬のうちに俺の横に来ているミナちゃんって一体・・・

―そういや、魔導師じゃん。

あー、こういう時に限って俺の頭がついて行ってない・・・
分かっているはずなのに・・・

でも、これで説明がつくってのも何だかなぁ・・・

その状態でひたすら歩く。
さっきの件で「走らなくても良いよ?」なんて言われたので歩く。

でも実は早歩きだったりする。

そのまま、歩いていると。
なにか・・・青い玉が飛んでいった気が・・

「どうしたの?カタミ?」
「いや、なんでもないけどさ・・・ん?」

まただ。
左っかわ・・・左の方に今なんか変な物が見えた気が・・・

「ん?、何か見つけたの?」
「なんかさ、左の方に何だか異様にでかい建物が見えた気がしたんだけど・・・」
「ふ~ん・・・何色だった~」
「なんか深い青色みたいな・・・紺色って言うのかな・・」
「へ?・・・え!?カタミ!それどっち!?」
「いや、だからさ、左の方だって。」

何を焦ってるんだろうか、このミナちゃん。
ていうか、焦りようがハンパじゃないけど。

「私たちが行くのそこなんだって!」
「なんでさ!?」
「そこに行かないことには何も出来ないんだってば~」
「そうじゃなくて!そこってなんなの?」

焦りまくってる・・・まるで非常時の猫型ロボットみたいで面白いけど。

「転移媒体選択型送還装置」
「・・・。」

長いし。訳が分からないし。
ていうか、一回も噛んでないし・・・すげえ。
でも、あえて言うなら。

まず、何を言ってるのかが分からなかったんだけど。

「あれ?わかんなかった?」
「ああ、全然、さっぱりだ。」

当たり前だ。
そもそも漢字が出てこねえ・・・

「分かりやすく言うと~・・・」
「言うと?」
「『愛称:ワープで試練ちゃん』って言うの・・・」
「・・・頭痛くなってきた・・・」
「ゴメンね、カタミ・・・私も初めて聞いたときそう思ったから・・」
「それ、誰に聞いたんだ?」
「ダグ」

俺の中のおじさまのイメージが崩れ去った。



   【流景~3~】

・・いや、そんなに打ちひしがれている場合じゃないみたいだ。
ミナちゃんが、本気で焦っているように見える。

「それでさ。」
「なによ?」
「そんなに急ぐのならさ・・・」
「むしろさっさと向こうに向かった方が良いと思うんだけど?」

正論だ・・・
まごう事なき正論だ・・

そんな事を言いながらも、ミナは杖に跨り既に宙に浮いている。

「それもそうだと思う・・けど、ミナちゃんって魔導師だろ?」
「・・今さらそう言う事聞いてどうなるの?」
「だからさ~・・あの、ワープとか・・出来ないのか?」
「へ?」

目が点になってる・・下顎に手を当ててむぅ~っと考え込んだ後。
ちなみに、俺がそう見えただけで、そんなに時間は経ってない気がするけど。

「カタミの言う”ワープ”って、空間転移の事?」
「まぁ、よくは知らないけど、そんな感じじゃないのか。」

はぁ~・・と、顔を下に向け、ため息をつくミナちゃん。
そして、ミナちゃんが顔を上げたとき。

その顔は満面の笑顔だった・・・
ていうか・・瞳が輝いてます・・ちょっと怖いです。
それと、このときも杖に跨っているので、向くのは顔だけだったりする。

「なんかね、カタミって時々賢いよね~」

・・・時々って言うのが多少引っかかるけど。

「まぁ、いいやっ、カタミのおかげで早く着けそうだし。」
「で、その・・空間転移、ってヤツ、やらないのか?」
「うん、じゃあ今からやるから、ちょっと目を瞑ってて。」

言われたとおりに、目を瞑る。
ストッという軽い音―杖から降りたのかな・・―がした後。
カリカリという音が4秒ほど鳴った。

「行くよ~」

目を瞑っていても、瞼の奥から光が通ってきている。
これ、ミナちゃんは眩しくないのかな?
俺でも眩しく感じているし・・・どうなんだろう・・?

『術式・始動』

いつもより、かなり集中しているのが分かるほど
今のミナちゃんの声は、何か違っていた。
俺が喩えても分かりづらいだろうけど、何というか・・・
いつもの声がラの音なら、今の声はソみたいな音。

【標を求めて旅人は彷徨う】

・・足下には確か地面があったように感じていたが
今は、どこかフワフワしたように浮いているように感じる。

【界は境を闇に引き、雫落つるは凝となし】

きっと、さっきのカリカリという音は。
俺たち二人を囲む、魔法陣を書いていたのだろう・・
その証拠に、俺の足下が輝き煌めいているのが分かる。

【それを求むは、愚を極めし安逸の預言者】

ふと、聴覚を残し、全ての感覚が消える・・!
一際、大きく響いたミナちゃんの声が、俺が存在している事を証明した。

「導くは、戴天を支えつる使者なり!」

・・・。

風が吹く。
いつの間にか、俺が居たのは見慣れない建物の前。
これが例の・・・あの・・ああもういいや!
思い出せない・・・むしろ思い出さなくてもいい気がする。

「は~い、到着~・・・よかった成功して。」
「ミナちゃん、今、何かさりげなく怖い事言わなかった?」
「うふぅん!?」

声が裏返ってるって・・・図星、かな?

「ねぇ・・ミナちゃん、もしかしてだけど・・」
「いや・・あは、あはは・・」

人間あれだな。
本当に切羽詰まったら笑いも乾くんだな。
むしろ、俺はこの世界に来ているという時点で切羽詰まってるようなものだけど。

「転移呪文ってね、すっごく難易度が高いの。
一度、神界に自分たちを引き上げさせて~
その人達に移動における因果の改変を頼まないといけないの。
これがすっごく難しくてねぇ・・・たった1センチの距離でも
下手したら死んじゃう事もあるからね~・・これって。」

・・・とりあえず、因果とかよく分からないけど・・

「要するに激ムズってこと?」
「うん、もの凄く省略されてるのはどうかと思うけど、そんな感じかな。」
「へぇ~・・・そういえばさ。」
「どうしたの?」
「こうやって話してるとさ、いろいろと聞きたい事が増えるんだ。」
「それって、カタミがこの世界の人じゃないから、疑問点があるのは普通じゃない。」

・・・ああ、わかってたんだ・・
多分こんな反応が返ってくるんだろうなぁって・・

「ミナちゃん。」
「カタミだったら、別にちゃん付けで呼ばなくても良いよ~」
「あ、そう?・・・じゃあミナ。」
「なぁに~?」
「俺たちは一体何をしに来たんだっけ?」
「何って・・・そりゃあ・・。」
「ミナが13歳になったら、試練の年で・・・」
「キャーキャーキャー!!言わないで、そこから先は言わないで!」

そう、気づいて欲しかった。
今、俺たちが居るのは、なんか・・・ミナが目指していた場所。
・・何だか納得いかないけど、ワープ君と呼ぶ事にしよう。

そこの、真ん前。
目と鼻の先には目的地。
・・・そして、なぜか入らなかった俺たち。

「カタミのイジワル。」

・・泣き顔見てると―泣いてない、泣きかけ―・・
何かこう、微妙にそそられるのは何故?

「て言うかね、カタミ、ここに入れると思う?」

指を指して、ワープ君を示す。
そこには、かつて正しく操業していたであろうワープ君の。

怪物達に、占拠されかかっている、傷ついた、建造物の姿だった。



   【流景~4~】

「で、これどうすんの?」

一応、聞いてみた。
まぁ、ミナの事だから「戦う~」とか「何とかする~」とか
そう言う事しか言わないだろうなぁ・・・とか予想はしてみる。

「あのね、カタミ。」
「何?」
「さすがにね、戦闘に慣れてないカタミを連れてね・・・
ざっと見た感じ30を超えるような中級悪魔に勝てる訳無いじゃない。」

・・・あれ?
今さりげに俺足手まとい扱いにならなかったか・・?

「てか、中級悪魔なんだ・・・アレ。」
「うん。」
「何で分かるの?」
「悪魔って言うのは大まかな区分けなの。
その悪魔自体に階級分けがされてて、全部で6つあるの。」
「6つ?・・・中級があるなら下級、上級があって3つじゃないのか?」

何かこういう講釈を聞いてると
本当に俺ってファンタジーの世界にいるんだな~って気がする。
まぁ、実際にいる訳なんだけど・・・なんかなぁ・・

「カタミが言った3つが原則的な分け方、で、6つがその中での役割。
普通は、6つの方をよく使うよ。」
「で、目の前のアレはいったい何なんだ?」
「第三位のクトニアって言う種族の悪魔。
モンスターの名前なんか覚えてられないからみんなこっちで言うよ。」

・・・もしかして・・・
この世界の人って・・・もの凄く大雑把なのか・・?

「なるほど・・説明ありがとう・・・・で。」
「うんうん、で、何?」
「どうやって中に入るんだ?」
「・・・むぅ~・・出来れば忘れて欲しかったのに~」

両手を振り上げてポコポコと殴ってくるミナ。
感覚的には叩いてると同義だけど、何だか必死だから・・・
ていうか、「ムッキャ~」とか言いながら叩かれても可愛いだけなんですが・・・
・・・計算なのか・・いや、あり得ないなw

ピタッと、手が止まる。

「そうだ!」
「なに?」
「前みたいにカタミが私の援護をしてくれたら良いんだ。」
「前って・・・フロッガーの時みたいに?」
「そう、と言う事でそうと決まったられっつごー!」

何で楽しそうなんだ・・ミナ。
そしたら急に振り向いて。

「カタミ、前に渡したペンダント着けてる?」
「え?・・ああ、ちゃんと首に付けてるけど・・」

服の中からペンダントを取り出す。

「おっけ~、そいじゃあ行くよ~」
「了解。」

【勇傑・進軍】

何かの呪文だったらしい・・・
体が軽くなった。

「カタミ。」
「何?」
「とりあえず、最上階の転送装置を目指して!」
「分かった。」
「あと、呪文に当たらないように・・って言うか、今回は魔法かな?」
「分かった、なるたけ当てないようにしてくれ。」

ミナの周りに、紅い弾が回り始める。

【炎弾・装填・回転機銃・掃射】

じょじょに、大きくなる炎弾に気づいたクトニアが此方に向かってくる。
それに対し、ミナは容赦なく、炎弾をぶつけ始めた。

さながら、ガトリングのように。
クトニアに中らなかった炎弾は建物に中ることなく。
全て、地面に当たり、地表を抉っていく。
その間を縫うように、俺は走る。
目指すはワープ君。・・・緊張感がぁ・・・

両手にハチェットを、握りしめながら。
建物の中に入る・・階段は・・どこだ?

(カタミ?)

俺・・やっぱ疲れてんのかな・・幻聴か・・
下手したら、ここで死ぬのかもしれんねw

(カタミ、テレパシーって言葉・・・知ってるよね?)
「ああ・・・もしかして・・これか?」
(アッタリ~・・・それでね。)
「なに、俺は今必死に階段を探そうとしてるんだけど?」
(・・・カタミ、あのね・・・よく聞いて。)

ちなみに、こうやって会話(念話?)している間も、
外ではずっと爆発音が鳴り響いてたりする。

(そこにはね・・・階段はないの・・あるのは転送板だよ・・)

かるちゃーしょっく。
いやいや、動揺しすぎてひらがなになっちまった・・

「転送板ってどんなのさ?」
「青い正方形の板を探して貰えたら・・・いいんだけど・・」

・・・。

「ミナ。」
(なに~?)
「それってさ。」
(うん。)
「乗ったらどうなるの?」
(光が出て~、板が回転して~、いつの間にか目的地って・・)

そうか・・・

「ところでさ、ミナ。」
(何よ~)
「今な、俺足下がやけに明るいんだ。」
(・・へ?)
「それでな、さっきからだんだんとな、足下の床がぐるぐる回ってるんだ。」
(ねぇ・・それって・・)
「で、ついさっきなんだけど、やけに大きい青い玉がある部屋にいるんだけど。」
(ちゃっかり転送板には乗ってる訳ね・・)

さて、どうしよう・・・
今居る部屋は、かなりの確率で密室だと思う。
何せ光源がその青い玉だからなぁ・・・

(カタミ?)
「どうした?」

直感的に不味い。

(どうしよう・・・囲まれちゃった・・・)
「それ・・俺にどうしろと・・・」



   【流景~5~】

「なぁ・・ミナ。」
(何よぉ~)
「囲まれたって言ってもさ・・俺にどうしろと言うんだ・・」

そもそも俺に言う必要性が分からない・・・
むしろミナなら魔法やら魔術やらでなんとかできるんじゃないか?

「もしかして・・今からそこに行けって言うんじゃ・・」
(まさか。)

恐怖していた選択肢が一つ消えた。
よかった。
しかし、懸念は残る。

「じゃあ、どうしろと?」
(あのね~・・呪文を唱えて欲しいの。)

知らない言葉だ。

「ちょっと、待て。」
(なによ、勝負は一刻を争うのよ?)
「なんでそう言う言葉を知っているかが果てしなく疑問だがとりあえず訊いて良いかな?」
(うん、な~に?)

・・ちょっと怖かったが気のせいだろう・・うん、きっと。

「なんで俺が?」
(カタミってなんでペンダントしてるか覚えてる?)
「・・・いや。」

むしろ聞いた事なんて無いんだが。

「ていうか、聞いた事無いんだけど・・・」
(だって、言ってないもん)
「それじゃあ、なんで聞くのさ」
(ん~っとね、そろそろカタミ自身で気づくかな~って。)

無茶を言う。

「・・・それ本気で思ってた?」
(その話は後、とりあえず、呪文教えるから。)

気になる。
しかしどう考えても、本気で思われてはいないとは思う。
何か雰囲気的に・・・

というか、切羽詰まってるときに何やってんだろ?

(一回しか言わないから・・・って言うか一回しか言えないから。)

それだけピンチなんだろう。
ところで、声の調子が全く変わらないのは俺の錯覚かな。
こっちからは見えないから全く分からん。

「はいはい、んじゃ、ど~ぞ。」
(【結び留るは点と点、引き寄せるは虚の間】)
「むすびとめるはてんとてん、ひきよせるはきょのはざま。」
(カタミ下手くそ~・・・でもいっか、上手くいったみたい。)
「へ、なにがって・・・え。」

いつの間にか、ミナが目の前にいた。
はて・・・いやいや・・でも。

「何驚いてるの?」
「いや・・・本当に瞬間移動って出来るんだな~って。」
「瞬間移動じゃないよ?」
「どういうことさ?」

いつの間にか現れてて、それが瞬間移動じゃなくてなんだというのか?
何かココにいるといろんな物が出来そうで怖い。

「今のは、私が動いたんじゃなくて、呼応したの。」
「呼応?」
「ま、詳しい事は、また今度言うから・・ほら、カタミ、こっちこっち。」

ミナに手を引かれて、さっきから目の前にあった球体の前まで来た。
正直、かなりデカい。
どれくらいだろ?・・・たぶん2メートルくらいあるんだろうか?

「はいはい、カタミ、またまただけど、眼を閉じてね~」
「ずっと、思ってたんだけどさ。」
「何?」
「なんで俺は毎回、眼を閉じてるんだ?」

顔を逸らすミナ。
あれ・・何か理由でもあるのか?

「えっと・・・それも今度話す。」
「・・・やっぱ、何かあるのか?」
「いいの!・・・ほら、早く眼を閉じてって。」

必死だ。
両手をぶんぶん振ってるから、もう・・・手はグーだった。
・・・とりあえず、また今度聞いてみよう。

別に、うっすらと目を開けてても良いんだけど・・・
それはなんか別の意味で怖いので止めておく。
ちゃんと理由を聞いてからにしよう。うん。

「閉じた?」
「はいはい、ちゃんと閉じてますよ~」
「オッケー・・・それじゃあ、そのままこっちに来てね~」

手を繋がれた。
小さくて暖かくて・・いや、何を考えてる、俺。
そのまま引っ張られる方向に歩みを進める。

ボミュウン

何か変な音がした。
いや、シャレでもなんでもなくボミュウンって。
でも、なんか変な感じ・・・水の中?
変にこう・・・まとわりつく感じ・・・うん。
手の感触はまだ、さっきと変わらないからミナが居る事は分かる。

「カタミ。」
「何。」
「・・・あのね。」

なんだか、目が開けられないからよく分からんが・・・
こう言うときは何か、変な事を言うときだと、俺は学習した。

「急に体が重くなったら・・・」
「たら?」
「すぐに・・・その・・・抱きかかえて・・」
「えっと・・今なんて?」

なんか・・声が聞き取れないくらいに小さくなって・・

「・・・だから・・その。」
「なんだ?」
「・・・抱きかかえて!って・・」
「なんで?」

ていうか、この後、何があるんだ?

「・・・落ちちゃうの。」
「は?」
「世界が変わって・・・試練場に出るんだけど・・・」
「ああ・・・それで?」
「転送装置を使ってもね、場所は不特定なの。」
「もしかして・・・」
「うん・・たぶん、カタミが思ってるとおりで良いと思う。」

要するに。
さっきまで俺らがいた世界とは違う世界に
俺らは転送装置を使って、来ている。
しかし、その転送装置を使っても、明確な場所は特定は出来ない。
一応、ミナが言うには「人がいける場所」らしい・・
ちなみに、今回の場合。

ミナの直感的に、出るのは「空」らしいので。

「俺に受け身を取って欲しいと。」
「うん・・・お願いね。」
「そう言われても・・・って、今ふわって体が浮いてぇぇぇぇぇぇx!!!」

落ちた。

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