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2009-02-18

『歪み行く中で・・・【來放】』


          『歪み行く中で・・・』

   【來放~1~】

ヒュゥゥゥゥゥゥ

あー・・・

・・・。
今のこの瞬間はアレか・・?
よくテレビとかで見る、スカイダイビングの企画とか
たまにやってる無重力実験の実践版かな。

実際にやってるというのは、なんだか変な気分だ。
さっきから耳の近くでゴォォォォォッって言う音がしてるし・・

まぁ・・・
生き残る保証がないのが辛いけどさ・・・
命綱があるわけでもないし・・

「どうしたの?カタミ?」
「いや、なんでもない・・」

むーっ・・っと、ちょびっとこちらを睨んで
何かを思いついたかのようにポンと手を叩いた。

「もしかして高所恐怖症?」
「違う・・今起こってる現状が原因でなりそうな気がするけどな・・」
「む・・それは私のせいじゃないよ~」

・・なんか、そうじゃない気がするのは俺の気のせいか?

「そんでさ・・・どうやって着地するんだ・・・これ」
「え?・・カタミがその二本の足でガシッとty「できないから」
・・・・できないの?
「俺がそれをできたら、今頃ここにはいないとは思う。」

ていうか、どこの超人だ。
・・今ちらっと下を見たんだけど、色が緑になってきてる・・
海なら海でおもしろかったんだけどな・・・

「カタミ・・・」
「ん?どうした?」
「下はどうなってるの?」
「自分で見れば・・・・まさか」
「ち、違うからね、ただ、
集中しないといけないからカタミにして貰おうって思って・・・」
「へ~、そうなんだ~ふ~ん・・・一応緑一色だけどさ・・」

あ~、なんかすっごいかわいいぞ。
顔真っ赤にして指でもじもじしながら言われてもなぁ・・・

「聞いてる?」
「ああ、聞いてるって・・」

実は大半聞いてない。
途中から「だってね、私のおじいちゃんがね」とか言われたら・・・なぁ・・・

「あ。」

突然、体が浮いた。
いや、浮くって言うのも何か変だな・・
さっきまでも浮いてると言えば浮いてるわけで。
どっちかというと、速度が徐々に遅くなった・・・って感じか。

「なぁ、ミナちゃん」
「なんだから・・・ん?なに?」
「呪文唱えたっけ?」

さっきから言い訳(としかとれない)ばっかしてたからなぁ・・
どうみても呪文唱えてるようには見えなかったけどなぁ・・

「へ?・・なんで?」
「いや、今までみたいに呪文唱えなかっただろ?」
「あ~・・これね、意識呪文だから、詠唱はいらないの。」
「便利だな・・それ」
「う~ん、でも唱えてないから威力とかそう言うのはないんだけどね・・」
「あぁ・・・なるほど」

・・何か分かる気がする・・
ん、と言うことは唱えたらもっと凄いことになるのか・・

と、言ってる間に、いつの間にか地上へと着いていた。
辺りは一面の草っ原で・・遠くの方にちょっと大きめの山が2,3個見えるぐらい。
人が住んでそうな気配が全くしないけど・・綺麗な場所だった。

「ま、だからって唱えても何にも変わらないけどね、これ。」
「へ、そうなのか?」

予想外の言葉に驚く俺・・
唱えても変わらない・・・?

「だって、そう言う呪文なんだもん・・これって。」
「じゃあ、変わるやつもあるのか?」
「うん、そう言うのも少ないけどね・・・」

ケースバイケースってことか。

「でね、カタミ。」
「・・まだなんかあるのか?」
「問題があるのよね~」

何のだ。
しかもその問題、絶対にいい気がしない。
笑ってるし・・かなり良い笑顔で。

「あのね、ここがどこか分からないの。テヘッ」
「マジで?」
「うん、マジで。本気と書いてマジで。」

テヘッと言われたときは、何かこう・・グッときたけど
内容が内容だったからどうにも・・・

あ、そういえば・・

「試練場じゃないのか?」
「うん、全然違う場所みたい。」
「なんでさ。」
「ん~、まぁ、あれじゃない・・」
「何?」
「よくある失敗って事で。」
「よくねぇ。」

むしろ、そんなことが頻繁に起こってたら俺が困る。
そしたら、いきなりミナちゃんが人差し指をピンと上に立てて

「そうだ!」
「何?」
「あのね・・・こんな草原のど真ん中にいても仕方がないでしょ?」
「まぁ・・そりゃそうだな。」
「とりあえず、人でも探そっか~」
「なんで・・・って言うまでもないな・・そうだな。」
「うん、と言うことでれっつごー!」

楽しそうだ。
見てたら、幾らか不安はなくなったけど・・

「あのさ・・・」
「どうしたの?」

クルッと振り向いて、顔をこっちに向けるミナちゃん

「人を探すって・・・どうやって?」
「ん、適当に・・」

・・・先行き不安だ・・・
そんな「え~っと」とか「う~んっとね~」とか言われても・・

「あれ?」
「どうした?・・・何か見つかったか?」
「いや・・・何か人が通った気がして・・」
「へ?」

目の前を見てみる。
ミナちゃんが見ていた方向を見てみても、特に何かある訳じゃない。
むしろ、草原が広がる、長閑な風景にしか俺は見えない。

「気のせいなんじゃ・・・」
「ううん、絶対見たもん!」

握り拳を掲げて力説するミナちゃん・・

「・・何をしているんですか?・・あなた方は。」
「は、はい?!」

突然声をかけられた。
驚いて振り向いてみると、そこには。

いかにも、インディアンな方がいた。
加えて、俺たちの命のピンチだった。

「え~っと・・説明しますから、その・・」
「弓・・・下げてくれる?」

弓には二本の矢が装填されていた。
しかも、臨戦態勢で、いつでも放てるように。

対して、俺ら丸腰。
・・・いや、ミナちゃんの杖は在ったけど、戦闘には向いてなさそうだし。


どうしよう。



   【來放~2~】

「いや・・その、怪しい者じゃないんだ・・」
「・・空から降りてきた人を、どうやったら怪しくないとでも?」

正論だ・・それもそうだ。
ていうか、そんなのは俺でも信じない。
いきなり空から降りてきたら(落ちてきたのではない)
それは・・何か別の次元の人か
よっぽど変な人だろう・・たぶん。

ミナちゃんに関しては・・・そっとしておこう。
ワタワタと慌てふためきもせず・・完全にフリーズしてる。
・・せめて、口を閉じてくれ・・・ポカンって・・

というか、目が死んでる。
どこを見ているんだ・・というか、早く帰ってきてくれ・・

「・・・ですが・・・」
「なんでしょう・・?」

なんで敬語?俺。
いきなり話しかけられたから、冷や汗が流れた。
マジで怖い・・・何だろう・・このぞっとする感覚・・
これが、俗に言う「悪寒」ってやつなのか・・

「私といたしましても・・別に敵対する意志はありません。」
「「へ?」」

ミナちゃん復活。
予想外の言葉に驚いたみたいだ・・・俺も同じく。

「・・・敵じゃないの?」
「ええ、なんだかそちら・・・お困りのようですし・・・」

ミナちゃんカムバック完了。
なんだか楽になったみたいだ。
ふぅー・・・って、溜息までついてるし。

そして、ここで俺はさっきから気になっていた点で。

「あのさ・・・手に持ってる弓・・下げてくれるか?」
「はい?・・ああ、すみません・・弓下げますね。」

気付け・・・むしろ、気付いて欲しかった・・・
そして、彼は弓を片付けながら

「それと、自己紹介もしておきますね。
私はリュプスロですので・・・よろしくお願いしますね。」
「うん、えっとね、リュプスロ・・さん?でいいの?」
「ええ。」

ようやくミナちゃんが自我を取り戻したらしい・・・
いつものミナちゃんの雰囲気になってる・・よかった・・

「えっとね、こっちがカタミっていうの。」
「ミナちゃんさ・・・俺が言うから・・」
「え~・・・いいけどぉ・・言わせてよ~」
「それは、後からで言えるだろ?」

自分で紹介できないのがそんなにイヤなのか・・・
何というか、見慣れた「む~・・・」って顔でこっちを・・

視線がイタイ・・主に左から。
左にいるのは、身長が小さいけど凄い魔法を使える女の子だけど。

「俺は、御諏村確実。
何か知らないけど、いざこざに巻き込まれてこんな状態だ。」
「分かりました・・で、行く当てはあるのですか?」
「行くあてはなぁ・・・・・」

ふと、ミナちゃんと目を合わす。
いや、目があったというか。

”ある?”
”いや、無いだろ・・・俺はここに詳しくないし。”
”だよね~・・・私もよくわかんない。”

さすが俺ら。
アイコンタクト一つでここまで話せるようになるとは・・
ちょっと事故が多かった気がしたが、それはアレだ。
きっとこれのためだろう。

「無いのでしたら・・私たちの村にいらっしゃいます?」

また村か。
ここまで来るとアレだ・・町にも行ってみたい。
けど、おおよその見当は付いてるから期待も出来ないけどさ・・・

「どこにあるの?」
「そうですね・・・少し・・歩きますが、いいですか?」
「うん、別にいーよー、私たちは構わないから~。」
「ああ、そう言うことだ・・・それじゃ、案内してくれます?」
「もちろんですよ、こちらです。」

草原の中をさも当然のように闊歩していくリュプスロさん。
それで・・5分ほど歩いた頃かな。

「ここです。」

さて。
密林を指さされて、俺はいったいどう返せばいいのかな・・・これ。
少なくとも・・俺の目がどうかしていない限り・・・

「密林?・・だよな。」
「うん・・・カタミも・・・・そう見えるの?」
「さぁさぁ、こちらですよ。」

笑顔で、密林の中へ入っていくリュプスロさん。

まぁ・・・置いてけぼりはいやなので。

ついて行くことにした。
怪しいけど。



   【來放~3~】

怪しいのは分かってたけど
その実、本当に怪しいとは思いもしなかった。

―マジか・・・

とりあえず、鬱蒼と茂った森の中を歩いてた。
これはジャングルというかアマゾンじゃねえのか?
なんて思える雰囲気の森を歩くんだが。

もちろん、そんなところを初見で歩けるわけもなく。

「・・っ、切ったか。」
「?・・カタミどうしたの・・?」
「いや、どっか出っ張ったところで引っ掻いたみたいだ。」

という、アクシデントが続出している訳だ。

「そういや、ミナちゃんってさっきから怪我しないよな?」
「ん~、そうだね~、なんでだろ?」

・・・その大きめの服が・・とか言ったら
なんだか、また死を垣間見るような気がするのは間違いじゃない気がする。
何せ、踝まで届くようなローブだし・・・
ていうか、袖で手が隠せる・・っていうのも、それはそれで問題が・・・
明らかに着る服を間違っているとしか思えないんだけどなぁ・・・

「・・あ。」
「どうした?」

また、突然「あ。」とか言われても正直反応に困るんだけどな~

「そういえば、ずっと障壁付けてたの忘れてた。」
「障壁・・て、バリアーみたいなのか?」

うん、何かそれっぽいのはマンガで見たぞ。

「うん、当たってるけど、話したっけ?」
「いや、話されてないけどさ、何か・・こう、勘で。」
「何かそーゆーのって反則だよね~。」

・・・・何がだろう・・・。
不機嫌ではないみたいだけどさ・・笑顔だし。

「あの・・・・」
「「はい?」」
「お話中の所申し訳ないんですが、つきましたよ?」
「・・あー、そうかそうか、そうですか。」

・・一瞬頭が真っ白になるとは思わなかったぞ・・
びっくりしたじゃないか・・寿命は縮まないけど。

あー、まぁ、アレだ。
到着したのは良いんだ、うん。
さらに、目的地がすぐ目と鼻の先にあるって言うのも良い感じだ。

うん、それと。
私はちゃんと道案内をしました・・的な凄く満足げなリュプスロさんも良いとしよう。
とっても好感触だ・・俺はとっても嬉しい。

のだが。

「で、村って何処さ?」

目前に聳え立つのは一本の大樹。
しかも、かなり年月が経っているみたいで
見た感じ、かなりの老樹・・・っぽい。
ちなみに周りは大木だらけで、

「いや、ここですが。」

いや、ね、そう言いきられても・・・

「・・そっか、カタミに見えてないんだね。」
「はい?」

なんでまたそんな意味深な言葉を・・・
ていうか、手招きしてる・・・ああ、そっちに行けってことか・・

そう言うわけで、現在ミナちゃんの目前で。
ちなみに、いくら近いと言っても3Mか4Mは在るわけだ。
それに、場所が場所なだけに、移動するのもやっとなんだが
ミナちゃんの所に行ったときに。

「あ、すぐ済むから。」
「・・どれくらい?」
「2秒?」

・・・。
そんなに本とか読まない俺でも・・「言葉もない」っていう単語は知ってる。
まさにこの状態が、そのことなのかな~・・とか。

「はいはい、落ち込まないで・・いくよ。」
「・・・なんで落ち込んでるのが分かるんだ、とか
色々突っ込みどころはあるんだが・・・ほい。」

スッと、無音。
風は止む、鳥の囀りもどこかへと。
うるさいほど啼いていた獣の声も、かき消えた。
杖を翳す・・標的は、まぁ、俺しか居ないのだが。

【冤視・婉眼】

目がほんのりと暖かくなるのが分かる。
だから・・・と言うわけでもないんだが・・

「あのさ、ミナちゃん。」
「ん、どうしたの?・・もしかして私の周りに黒い霊でも廻ってる?」
「え・・あ、そう、それ・・何だこれ?」

リュプスロさんを見れば、紅い霊が廻ってる。
こう、一個しかないんだが、身体の周りをゆったりと縦横無尽に廻ってるという感じ。
ふと、自分を見れば、肩先の所に蒼い霊が浮かんでいた。

「それね、属性魔魂っていうの。」
「・・そっか、俺は水だから青色なのか・・」
「そう言うこと・・・で、さっきの樹を見てみて。」

視線を向ければ、ぽっかりと穴が開いてる。
それも、人二人は軽く通れるほどの穴。

「ようするに、ここを通れば行けるって事か。」
「そうです・・・えと、ミナさん・・でしたかな?」
「うん、そーだよ・・どうかしたの?」
「少しお話が・・・」

二人で内緒話か・・・
俺はどうしよう・・・二人が話している間は俺は暇だからなぁ・・・
属性魔魂か・・・妖精みたいなモンかな・・・

―・・・!

・・話せるかな?
まさか・・いや、でも・・う~ん、どうだろ・・

“どうしたよ。”

「いやな、こう、さっきからふわふわ動いてる・・属性魔魂だっけ。
それが、もし妖精とかに近いなら話せるのかな~って思ったんだ。」

一人ぼやく。

“はー、そりゃ結構なこった”

「だろ?」

律儀にも返してきやがったので、こちらも負けじと。

“そうそう、それとは別にだな、いま、お前は誰と話してるんだ?”

「誰って、そりゃあ・・・・・・、そりゃ・・・・
え?・・・・、あ・・・、そういや、お前誰だ?」

“誰って・・妖精なんだが・・お前が言う”

あー、そうか妖精かそうかそうなら早く言ってくれって・・は?

「ハァァァァァァァァァァ!?」
「え!?どうしたのカタミ?いきなり大声挙げて・・?」
「いや、今・・何か妖精って言うのか・・
それとなんか会話してた気がする
あぁ・・でも、妖精とかどんだけ非現実だって話だよな
まぁき「いるよ。」い・・・へ?」

今なんと?

「だから、妖精は居るって言ってるの。」
「なんでさ。」
「う~ん、それって属性魔魂の事?」
「ああ。」
「話したの?」
「ああ。」

何が聞きたいんだろう・・
まぁ、ちょっと俺の方がパニックで「ああ」しか言えてないけどさ。

「そう・・・カタミ。」
「な、何だ?」
「近いうちに特訓しよっか。」

・・ゴメン。
正直何が何だか分からないんだが。



   【來放~4~】

特訓?
いや、特訓て、何のだ・・・?
そもそも俺は魔法とか魔術使えないし・・・。
ていうか、実のところだと使えないより、分からないに近いんだが・・・。

「・・?、どうしたの?」
「いや、俺にその・・特訓とかいう・・の、必要なのかな~・・って。」
「・・私は必要と思ったから言ってるんだけどな~♪」
「ええ、私もそう思いますよ。」

なんでそこにリュプスロさんまでが・・・
既に身体の半分は穴の中に入ってるけど。

「それと会話って言うのは、なかなか出来るものじゃないんですよ。」
「なんで?」

俺はさっき普通に会話していたんだが・・妖精(?)もどきと。
・・今は何処に行ったのか、黙ってるけどさ・・・

「なんて云いましょうか・・・?」
「う~んと、ね~・・・なんだろ、精神の統一?」
「・・・格好良くは言ってるけど、要するに気持ちを一つにって事か?」
「うん、そうなんだけど・・・」

・・?
まぁ、気持ちが重なれば会話が出来るようになる・・・というのは分かる。
二人が言いたいのはそんな感じだろう、きっと。

「属性魔魂って、自分とは相反する気質なの。」
「相反するって・・・正反対?」
「そうなりますね~・・・自分で自分のライバルを持ってるんですよ。」

・・それ絶対無意味な気がする。
いや、せめて味方ぐらい味方で固めさせてくれよ・・・。
どこのRPGがパーティの中にゴブリンを入れるんだよ・・・・スライムとか・・
俺なら入れない、ていうか、普通入れさせて貰えない気もするが・・。

ていうかリュプスロさん。
あんた先に行くつもりだろ・・もう頭しか出て無いじゃないか・・
案内業は何処へ・・・むしろ、どうしたんだ・・・

「だからって、今浮かんでる魔魂に攻撃しちゃダメだよ?」
「なんで?」

速攻で手にハチェットを持って、これ(魔魂)に振りかぶろうとしていたのに・・・
(あわよくば、先に何処かに行こうとする誰かを攻撃したくもなったけど。)
ミナちゃんは、人差し指をこちらに向けて「あ~っ」と言いたげな・・・・顔で。

「・・返って、来ちゃうから・・」
「・・・何が?」

遺憾ながら、とても恐怖発言が待っている気がします、お母様。

「その・・・・ダメージが。」

・・・・。

「・・なんか、頭の処理が追いつかないんだけど。」
「カタミ、気持ちは分かるけどこれって大事なんだよ?」
「ダメージが返ってくるって事は、相手もここを狙う・・・訳ないな。」
「うん、それは正解・・狙っても無駄だもん。」

だって、魔魂の大きさはピンポン球ぐらい。
それが身体の周りをふわふわ浮いているだけだし・・・
狙うんだったら、俺の・・そう、本体を狙えばいい話だ。
うん、バカの俺でも分かるからきっと本当に常識なんだろうな~・・・

「でもね、カタミ。」

ん、まだあるのか・・?

「そっちを狙えば、ダメージは大きいのよね・・・」
「話が矛盾してないか?ミナちゃん。」
「ううん、してない、むしろ話に合ってるの。」

お~っと、混乱しているせいか分からなくなってきている・・・

「なんで?」
「えっとね~・・」

両手を腰に当てて、満面の笑みで話し出すミナちゃん。
でも、威厳とかそう言うものの前に、可愛さが出てます。
それも、かなり微笑ましいレベルでの可愛さ。

・・・わかってるのか・・・?

「うん、魔魂を狙うのは無理って言うか・・すっごく効率が悪いの。」
「ああ、それは俺にも分かった。」
「ここで問題なのが、魔魂の役割。」
「・・・属性判別。」

いや、それ以外知らんし、分からん。

「それもあるけど~、大きいのが魔力の元っていうのかな、そんなの。」

・・・ちょっと待て、それってつまり・・・

「・・・なぁ、俺、ちょっと話が読めたんだけど。」
「え、な、何が・・?」
「それ、要はミナちゃんみたいな魔導師とか、そう言うクラスのヤツに
大ダメージってだけで・・・使わない俺は関係ないような・・・」
「あう~、それはそうなんだけど~・・・」

狼狽えるな。
地面にへたり込むと、やっぱり身体は小さいし
それに滅多に見ないが、細いな~・・色も白いし・・って、あれ?

「・・・なぁ、ミナちゃん。」
「なによ~?」

ふと気付いた。

「リュプスロさんは何処に行った?」
「さっき、穴の中に入ったじゃない・・・何で?」
「いや、だって穴の中って、あそこは魔術関連の穴だろ?」
「うん、【ゲート】とか【ゾーン】ていうの。」

・・案外普通なんだな、呼び方。
なんか、俺の元居た世界とあんまり変わらないじゃないか・・・

「だったら、なんかいろいろと複雑な通り方とかあるんじゃないか?」

絶対、こう言うのって仕掛けがあるんだよな~・・・

「ないよ?・・一本道だし。」
「はい?」
「どうせ、この村の人が通るだけなんだし、別に何にもないよ?」
「・・まだ通ってもないのに・・分かるんだ・・」

俺たちって、さっき穴をチラッとしか見てない気がしたんだけどな・・

「うん、さっき解析したの。」
(何時の間にやったんだろう・・・呪文とか唱えてたっけ・・?)

さも、それが当然のように「解析したの。」なんて云われても・・
そしたら、ミナちゃんがパンパンと手を叩いて

「さ、いこっか。」
「お、おー・・・」

とりあえずノっておいた。
ただ、それが気に入らなかったのか、襟首をつかまれて
穴の中に引きずられていったのは、とても忘れたい事項だと思う。

―――・・・ックキャッー!

入ろうとしたら、何か飛んできたけどな。
・・またかよ・・



   【來放~5~】

・・まぁ。

「アレだな。」
「アレって何よ?」
「さっきのアレはなかったことにしたいんだが・・」

勿論、アレ=さっきの奇声というのはミナちゃんも分かってる筈なんだが。
ていうか、分かって貰えてないと困るというかなんというか。
もし、ここで「え?なんの話?」とか言われたら
それはそれでなんだか寂しい気もする・・・気がするだけ。

で、当のミナちゃんは、さもなんでもないように

「あんなの気にしてたらキリがないんだってば・・・行くよ~。」

次々・・・っていうのも変だな。
何しろ、あ~・・ゲート、に入って行ってるだけなんだし。
なんでもないとは言うが、俺的に凄く気になる。

「なんかさ、ああ言うのって男のロマンに近い物があると思うんだ・・・」

ちなみに、声を出したけども誰も反応を返してくれなかったり。
しかも俺は誰に同意を求めたんだろう・・・
・・・ミナちゃん女の子じゃないか・・

ちなみにロマンって言うのは、RPGみたいに敵が出てきたら
武器とか魔法使って、何とかして倒すというシチュエーション。
・・・ただ、問題なのがこれが仮想じゃなくて現実だと言うこと。

洒落になんねえ・・・

「あ、そうそう!」
「おわあああああああああああ!!!」
「ヒャッァ!・・・な、何よ?!」
「いきなり出てくるなぁぁ!!!!ビクるだろうが!!」

ちょっと物思いに耽ってるときに突然声を掛けるのは
いろんな意味で反則行為だと思うんだが・・・
というか、穴から顔だけ出てるのがとってもシュール。
むしろ、シュールなんだが別の意味で怖い。

(可愛いだけの妖怪ってこんな感じなんだろうか・・・)

その光景を見ての第一の感想がこんなのだったり。
あれ・・・もしかして俺は行ってはいけない方向に・・?
だんだん感覚が麻痺しているような気も・・・

「え~・・っと、聞いてる?」
「ん、ああ、オッケー、なんだ?」

とりあえず、みんなが向こうに行ったみたいなので
おれも、移動を始めることに、というか・・・
まぁ、穴のある方に向かっているだけなんだけど。

まあ、その間ミナちゃんは気にせずに話すんだが。

例えば、さっきの声は、いわゆる日常茶飯事。
朝起きたら聞こえる鳥の囀りみたいな物、と言うことで理解してね☆
って、思いっきり笑顔で言い切られた。

・・・目覚めすっきりしないだろ・・・それ・・
爽やかというか朝からグロいタイム発動なのかよ・・・朝から重すぎるぜ・・・

で、極めつけに。

「ゲートの中で目を開けちゃダメだからね。」

・・・またか。

「なんでさ・・・俺、今まで魔法っぽい物全部見てないぞ・・」

今までは、何かにつけて「目を閉じろ」とか言われたから・・なぁ・・
てっきりそう言う物かな~、とかそろそろ思い始めてたりしてた。
(そう言えば一回見たような気もするが、曖昧すぎる・・・・)

「そろそろ、慣れてきたし・・・良いだろ?」

なんか、俺の中だと魔法とか、魔術とかそういうのは
結構危険な物・・・なんか放射能に近い感じ・・・ちょっと違うか?
ま、概ねそんな感じの物だと思ってた。

ミナちゃんはちょっと困ったような顔を浮かべて

「う~ん、まだカタミには止めといた方が良いというか何と言うか~・・
・・・とりあえず、詳しい話は後で~。」

俺は一体何時になったらその理由を聞くことが出来るんだろう。

「あのさ・・ちょっと聞きたいけど・・・その理由・・」
「うん、今、すっごく眠いの・・・ていうか面倒くさい~。」

結構歩き詰めだったからなぁ・・とか、ちょっと感傷に浸る。
のは、良いんだが・・・いや、浸ってるのは俺なんだけど。

詳しいことは、中で・・・・か。
もしかするともしかするかもしれないな・・・これ。

“クヮッキャー!”

・・・叫び声にエコーというか、重複音が聞こえてきた。
数増えてるし・・・音だけでもそんな感じだ。

「もう~、ほらほらボーッとしてないで早く早く!」
「ああ、はいはい、分かったから。」

ようやく、村(正直、町じゃないのが納得いかない。)に行ける訳か。
思えば、これでちゃんとミナちゃんから話を聞けるのか。
今までなんだか、勢いでここまで来ちゃったけど。
というか、そろそろそれに順応してきてそうな俺。

思ってたら、ミナちゃんから声を掛けられ

「こっちこっち~、えっとね~・・こうやってこうやって~」

なんか嬉しそうに、俺にレクチャーを。

・・・とても、可愛い所作付きで入り方を教えて貰いました。
内容としては・・要はプールの飛び込みと同じ・・・なんだけど。

やけに、あのインドのマハラジャっぽいウネウネとした動きがあったのが気になる。
飛び込んだ後はその体勢をキープ・・するだけで良いらしい。

「で、カタミは飛び込む前に私を投げ入れていってね。」
「・・自分で飛び込めないのか・・?」
「服が大きいから、ちょっと身動きがとりにくいの!!」

怒られた。
・・・うん、怒られたんだと思う。
しかし、とんでもない理由だなぁ・・とか思う前に

「じゃあ、なんで大きな服着てるんだ・・?」

最大の疑問。
少し前に、特に邪魔にならないとか言っていたような気もするが
やっぱ、普通に動く分には問題があるんじゃ・・・

「そっちの方がなんか、『魔導師』っぽくていいじゃない。」
「・・・ああ、そう。」
「あ、バカにしたでしょ!今絶対子供っぽいって思った!」
「してない、思ってない・・・ただ、妙にアレだから・・」

ひょいとミナちゃんを担ぎ上げる。

「ひゃあ!・・・ちょっと、ちゃんと話を、っていうかアレって何よ?!」
「それも後で詳しく言うから、とりあえず行くぞ~。」

グイッと、真上に掲げて少し反動を付けて穴(ゲート)に放り込む。

「ちょっとまだ心の準備って言うかえっもうなの?!いやああああああああぁぁぁ」

あああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・
へ~・・・これってやっぱり穴だから反響はするんだ・・・

とりあえず、ミナちゃんの断末魔(死んでない)が聞こえなくなったときに
俺もゲートに飛び込んだ。

何かに入る感触も無しだったので。
ほぼ自由落下。

「あああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

ひとまずは叫んでみた。
というか、叫ばないとやってられない。

・・・これ・・・着地って・・どうなるんだ・・・?

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