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2009-02-18

『歪み行く中で・・・【併穏】』

          『歪み行く中で・・・』

   【併穏~1~】

一、人間慣れれば何でもなくなる。

というのを、なんだかどっかの誰かが言ってた気がする。
別にそれが言ってたのか、どっかに書いてたのか、それはどうでもいいんだ。

「カタミ、あのね。」
「なんでしょう・・・」

とりあえず状況的に、一番のピンチです。

「いきなりね、穴の中に女の子を投げ入れるって言うのはどうなのかな~?」
「ええ、はい・・あれは、その、成り行きでですね。」

ミナちゃんは笑顔・・・けど目が笑ってないです。
さりげなく、俺の首に手・・いや、腕を回している辺り・・・いや、なんでもない。
ちなみに、敬語なのはなんてことはない、怖いんです。

「へぇ~・・・カタミは成り行きで女の子を放り投げちゃうんだ~」
「でも、俺その後すぐに穴に落ちたぞ?」
「うん、それとこれとは別ね♪」

どうやら全部俺の責任みたいです。
冤罪だ!これはきっとミナちゃんの長きにわたる陰謀なんだ!!
とか思ったりしたけど、よく考えたら初めて逢ってから3日ぐらいしか経ってない。

(そんな計画無理だよなぁ~・・・)

で、さっきからずっと思ってたことを訊いてみた。

「あ、そうだ、ミナちゃん。」
「な~に~?」

やる気なさそうな声が帰ってきた。

「この穴って長いよね。」
「だね~。」

さっきから落ち続けて既に30分ぐらい経ってる感じです。

「いつ終わるのかな?」
「わかんな~い。」
「どうして?」
「簡単に入れたら、何か面白くな~い。」
「・・・ちょっと待って。」

オーケー、落ち着こうか俺。
落ち着け、そして焦るな俺・・・安心して聞き返そうじゃないか。

「ミナちゃんは何もしてないよね?」
「・・・。」

・・・何で明後日の方向向いてるんですか?
答えてよ!不安になるから・・・・

「あのね。」
「おお、何でしょう。」

ポジティブシンキングでいこう・・・この世界何が起こっても不思議じゃない。

「あと少しで地面に落ちるんだ。」

・・少しって何・・?

「少しって何・・っていうかどれくらい・・?」
「50秒ちょっと・・・だと思う・・」
「それ、結構もうすぐだよね。」
「うん・・・」

残り44秒。
ただ、ミナちゃんの言うとおりならば。

「さっきね、リュプスロさんから念通が来てね・・・」
「念通・・・?・・・まぁ、いいや、来て?」
「手続き受理終わったから、もうゲート閉じるって。」

おかしい・・・・話が矛盾してる。
ゲート・・この穴は開く物じゃないのか?
内部と外部からの門があって、外部は開いてるけど内部で閉じる・・
これで、セキュリティやらなんやら確保できるんじゃないのか・・?

それが、今、実際に入るとなると内部側で「閉じる」と言う表現が。
穴の中のトンネルの出口を塞ぐことになるから、俺たちは入れないんじゃ・・
そして、俺たちは外部から「落ちてきた」。
つまり、帰還は不可能・・・でも、ミナちゃんは安心しているようだし・・

「・・カタミ、考えてないで早く準備するよ~!!」
「おおおっ!!・・ゴメンゴメン・・で、準備って何?」

物思いに耽ってたか・・・
うぅむ・・・これ何とかしないと敵に襲われたら俺死ぬんじゃないのか・・・?

「えっとね、またなんだけど。」
「また・・・?」
「うん、現語呪文の唱和・・・っていうか、前の転移の奴・・かな。」
「ああ、何かミナちゃんの後に唱えていく奴だろ?」

そうそう、あの時はアレで助かったんだっけ・・
で、実施ワープしてみれば「ここはどこ?」みたいな状況だった、と。

「あ、覚えててくれたんだ~」
「勿論、ていうか、俺も呪文とか使いたいんだけど。」
「う~ん、村に着いてから詳しく説明するね。」
「まだ俺はお預けを喰らうのか・・・」

使えたら面白そうなんだけどな・・・格好良いだろうし。
あ、でも【狩人】だからそんないっぱい使える気がしないな・・

「あははっ、そう言うことになるかな・・で、ペンダント付けて。」
「これ?・・・よく分からんけど、普段から付けてるぞ?」
「おおっ!それはなんだか意外・・・」

いや、こう言うのは嫌いなんだけど、せっかく貰ったし・・
とか、言うのは止めといた・・なんか、恥ずかしかったし。

「実はこれを付けてないと、呪われるんだろ・・?」
「ふふふ・・実はね・・って、さすがにそれはないかな・・」
「冗談冗談、で、なんて云えばいいんだ?」
「オッケー、じゃあ、行くよ~。」

元気な声と共に、ほんのりと蒼い光が俺たちを包んだ。

【術式・開始】
「術式・開始」

【吹き和む静穏の春風よ】
「吹き和む静穏の春風よ」

【花の匂いを纏いて我らを包め】
「花の匂いを纏いて我らを包め」

「撫で愛でる草の絨毯のように!」
「撫で愛でる草の絨毯のように!」


ほんのりと、緩やかな暖かい風が吹き、落ちる勢いが弱まった。
徐々に勢いは落ち続け、やがて、赤茶色に染まった固い地面に俺たちは降り立った。
・・・降り立ったのは俺だけだけど。
ミナちゃんは俺の後ろにしがみついてます、おんぶ状態。

【術式・閉鎖】
「術式・閉鎖」

よっ、と声を上げて、ミナちゃんは俺から降りた。
ちょっと嬉しそうに見える笑顔だった。

「歓迎しますよ、お二方。」

数メートル先に、そそくさと先に消えたリュプスロさんが立っていた。

「こちらです。」

まぁ、ついて行く以外に選択肢なんか無いので、ついて行った。


(続く)

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