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2009-02-18

『ある傭兵~旧帝國歴208年 4月~』


・・・・そう、彼らは傭兵。
ただ、雇われの存在であり、金さえあれば。
金次第では国家反逆・住民大虐殺・強盗と云った
卑劣なことをしでかす連中だった。


『ある傭兵~旧帝國歴208年 4月~』


第三ガルドラント傭兵中隊隊長、ディケルは
その道10年のベテランであり、傭兵達からの信頼は厚かった。
しかし、素性を知るものはなかった。
そうであっても、誰も素性を知ろうとするものはなかった。
そんなものはこの世界では必要なく、用を為さないからだ。

必要なのは、極地における、サバイバル戦術とゲリラ戦法の秀逸さ。
真っ向勝負などもってのほかだった。
何せ、この中隊の人数は二十余人。
対し、今回の仕事内容は「城塞の陥落」。
ディケルは持てる力すべてを用い、戦略を練り
それを、隊に伝えた・・・子細を詳しく。

丑の刻・・・後何刻かで日が昇る。
攻め込むのは半刻後・・あからさまな刻では感づかれる。
早過ぎてもいけない、それまでは相手の思うつぼだった。
中隊は、塹壕を掘り、その中に潜む。
場所は風下、斜面に掘られた塹壕の位置は
相手方からは殆どの確率で視認は不可能である。
距離は七百メートルほど。

狙撃隊の4人を残し、進撃の開始を合図する。
彼らなら、一キロ先までならば、外すことはないと確信を持っている。
遊撃隊の5人が先導を切り、螺旋運動を描きながら侵攻する。

ディケルを含めた主力部隊・特攻隊は隊長の合図を待っていた。


・・。

・・・。

・・・・・。

・・今だ、と、檄が飛ぶ。

敵城塞が、侵攻に気付いたのか警鐘が鳴り響く。
同時に、窓から灯が漏れだした。
敵兵の数は、情報によると二千と少し。
しかし、今の時期、いや、今はその数は半分に減っている。
疫病による、病死が相次いだためだった。
よって、今が攻め時であったのだ。

城塞に攻め込んだディケルは東洋剣を抜き
右手の甲に握らせた。
左手の甲には連続装填式の小銃を構えた。

彼は人外。
腕は二つ、が手は四つ。
そこに手が見えるわけではない。
確かに、そこに手があるのだから。
相手には、持っていないのにもかかわらず、持っているという
視覚の矛盾における動揺を与えることが出来る。

人間、視覚情報の9割が行動に基づく。
聴覚・触覚・味覚・嗅覚などは視覚の補助でしかならない。

では、その視覚から崩されると、どうなるか。

動揺が隙を生み、その隙は一瞬であっても死につながる。
なぜなら、彼がこれを行うときは必然であって死地である。
彼が真っ向勝負を敬遠する理由がこれだった。
これは、視認した瞬間が狙い目なのだから。

相手を視認、敵が彼を見て・・怯んだ。
彼はその一瞬を見逃さず、隼のように駆け寄り
右手を振り下ろす、刀身は相手の躯を捉え、袈裟懸けに抉り取った。
止めと言わんばかりに、左手に構えた銃で相手の脳天をぶち抜いた。
その間2秒にも満たなかった。
振り下ろされた右手は、振り下ろしでは勢いは止まらず
背後に迫り、今にも洋刀で切り上げようとしていた相手を
下手から逆袈裟で仕留めた。

僅かに重心をずらし、右足を擦らして曲がり角の壁に背中を預けた。
彼は、耳を澄まし、不意に身を翻し背後に持っていた
連続装填式掃射銃を構え、撃ちはなった。

飛び散る血飛沫、破裂する肉体。
四散する脳漿、間断なく流れ出す断末魔。

長さ三十メートルほどの廊下は、一瞬にして惨劇の場と化した。
死人の重なり合った骸と、充満する死臭。
生存者は、この状況で居るならばそれは奇跡であろう。

鼻を突く臭いを、何事もなかったかのように。
ディケルは、今回の仕事の詰めに向かった。

【王の処刑】

処刑と言えば、響きは良いが傭兵にかかればそれは虐殺となる。
なんと言うことはない、ただの「殺し」である。

扉が、一際大きな廊下に出た。
階下から、人のあげる悲鳴が聞こえてくる。
相手方の兵が死ぬ声か、それとも同僚が死ぬ声か。
正確には分からない、確認しようとも思えない、いや、思わない。
彼には、関係のないことだった。

扉に触れた。
扉を開けることはしない。
触れて、扉の材質が木材と分かったため・・・

その前から、ぶっ放した。

扉の向こうで構えていたであろう、人の声。
十秒ほど撃った後、既に蜂の巣となった扉を蹴破った。

中は凄惨だった。

見慣れた赤が散らばり、絢爛な部屋を見にくく彩っていた。
鉛色の甲冑を着た兵どもは、既に息絶えていた。
それに囲まれるようにして、虫の息だった
防具らしきものを装備していない人を見つけた。

死骸を蹴り飛ばす。
単に奴を引き上げ、嬲り殺すのに邪魔だからだ。
本日のメインディッシュの首筋を掴み、空に揚げる。

そして。

首を、躯と、分断した。

噴出する血液、声が上がるが徐々に弱くなっていく。
躯は、糸が切れたかのように、鈍い音を立てて倒れた。
頭は、髪を掴み、刀で目を抉り取った後。

脳天に、一発。
放った。



こうして、彼らは集合した。
死者は二人、いつもに比べれば少なかった。
彼らは、「頭」を依頼主に献上し、褒美を貰った。

こうして一日が、終わった。
次の依頼が来るまでは、安穏に暮らす。

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