--------

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2009-02-19

『紅夜に明るる欠け細る月』


          『紅夜に明るる欠け細る月』

―ああ、今宵も綺麗に輝くのね。


テラスに立ち、一人で空を見上げ・・・と洒落込みたいが背後に一人。
それこそ気配はないものの、確かにそこにいるのは私の従者。

・・紅魔館メイド長、十六夜咲夜。
彼女は、傅きこそはしない、いや私がさせないだけなのか。

「・・・咲夜。」
「なんでしょうか。」
「【運命】を弄れば、貴女は時は止められなくなるのかしら。」

無論、それはあり得ない。
時が止まるのは、それこそ必然であって、彼女の意志だ。
私が何をどう関与しようと、それは変わらぬ。

「さぁ・・・私には分かりかねます。」
「・・そう、ならいいわ。」

チャラッ・・彼女が懐中時計を取り出し・・・

「お嬢様、そろそろお部屋にお戻り下さい。」
「分かったわ・・少し遊びすぎたかしら・・・」

ここに、そう、右手に血液でもあればいいのか。
いや、それは杞憂だろう・・きっと、なにがあってもこの気持ちは変わらない。

「咲夜、明日・・フランを連れて出かけるわ。」
「分かりました・・どちらへ?」
「フフッ・・貴女も来るのよ、勿論。」
「左様でしたか・・・それでは、また明日・・お休みなさいませ。」

テラスから部屋へと戻りながら、彼女と話す。
屋内へと戻り、彼女は窓を閉めて一礼して、出て行った。

さぁ、明日は何処へ行こうか。
霊夢にでも会いに行こうか・・あの巫女は楽しい。
フランも懐いているようだから・・・そう、神社に行こう。

「そうと決まれば、フランに教えてあげた方が良いかしらね。」

すっくと立ち上がり、私は地下へと向かった。

―ついでに、今日は一緒に・・・・





「れーむー、れーむー、今日も宴会しよーよー!」
「もう萃香ったらまたなの?」
「いいじゃないか、私も宴会大歓迎だぜ!」
「いやね・・あんたたちだけ満足でも、うちの神社お賽銭・・・」

「お賽銭ぐらいなら、正月にでもなればいくらでも入るじゃない。」

来てみれば、まぁ予想は付いていたけど。
いつも通りの光景があった・・今日は鬼の子がいるみたいだけど。

「あら、レミィ・・とフランとメイド長じゃない。」
「めずらしいな・・あっ、まさか一緒に騒ぎに来たんだな?!」
「魔理沙なんか焦りすぎー。」
「えぇ、遊びに来ただけであって、騒ぎに来たわけではないけど。」

ひとまず、訂正しておいた。
傍らにいるフランに私は小さく、彼女にだけ聞こえるように声をかけた。

―遊んでおいで、自分から言わなきゃ・・ね?

てとてとと、白黒・・・もとい魔理沙に近づいていき。

「まりさー、あそぼ?」
「おぅ、いいぜ。」

ああなんと、ここにいる人たちの優しいことか。
迫害され、弾圧され、忌み嫌われてきた我ら吸血鬼を恐れずに。
輝かしいほどの笑顔で、私たちを、いやフランを受け入れてくれる。

「お嬢様。」
「・・何かしら。」
「日向はお体に触ります・・・こちらへとどうぞ。」

咲夜もたまには羽目を外せばいいのに。
口に出そうと思ったが、思い立って止めた。
きっと、この瀟洒な従者は私がいる限り、いやメイドである限り
私たちがいる、幻想郷、ひいては紅魔館の住人全てを守ろうとするのだろう。

「貴女も、心配性ね。」
「かもしれません、未だに門番が心配でなりません。」
「門番・・美鈴だったかしら・・それは言えてるわね。」
「一応頼りにはなるはずなのです、が・・以前のこともありますので。」

そうね、と私は返した。
魔理沙達も、私たちの特性を知ってか、日陰で遊んでいる。
ふと見れば、フランが手招きをしていた。



―仕方ないわね。


「ちょっとレミィ嬉しそうじゃない・・」
「やっぱ、フランに呼ばれたのが嬉しいんだろうな・・」

こそこそと、二人で話し合って・・・

「よーし、萃香頑張っちゃうもんねー!」
「れいむー、まーりさー、あそぼー?」
「ああ、わかった「わ!・ぜ!」」


今日も、神社の神木の下で。
嬌声と叫声とすこしの爆発が繰り広げられた。
なにがあったか、それは誰も覚えていないと言う。
ただ、皆言うときに、少しはにかんだ笑顔であったことは言うまでもない。




―常しえに、月よ輝け在れと。

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://midgardsorm8.blog73.fc2.com/tb.php/31-6c4ca02a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Copyright (C) 綻んだ緋い束紐に。. All rights reserved. Template by Underground
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。