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2009-02-18

『暮色に消ゆるは果て無き徳の哀しみ』


『暮色に消ゆるは果て無き徳の哀しみ』


何時の話だったか。
彼が、それは齢十七にもなろうかと、そう見られる青年だった。
ただ、彼はひたすらに砂利道を歩き行く。

右手に、一本の大木が佇んでいた。

何処に行くの、と鳥は上枝から彼に問うた。
わからない、ただこの先に何があるかを見てみたい、と彼は答えた。
鳥はそっぽを向き、そう、とただそれだけを残し、飛び去った。
彼は、それを見送り、また大手を振り歩き出した。

直に、左手に小川が見えた。

こんにちは、君は何がしたいの、と河童は問うた。
わからない、でもこの先何かすることがあるかもしれない、と彼は答えた。
河童は頭を振り、それはそれは、と言い残し泳ぎ去っていった。
彼は小川で水を掬い、一休みをした。
そして、彼はまたもや歩き出した。

陽が暮れなずむ頃、空より神が訪れた。

主は何を求めるのか、神はそう問うた。
辿り着ければ分かるものもある、と彼は答えた。
では、主は何処に向かうというのか、この先は白道なりぞ、と申された。
構わない、私は今在ることさえが必然なのだから、と彼は答えた。
それでは、と神は刹那逡巡されたが、一問、彼に。

主は、何じゃ、と極めて静かに申された。

私は、在であり無であり、ここにいるべきものであり。
それは果たして意義があるべきかと、我が身を案じここに問う。
番を外された箱のような、錠を課された扉のような。
私は、それなのであります。

然るべきは、終に戻るまで、白道歩くは摂理なり、と彼は答えた。
転じて、主は御身であり、我が身は主であるか、と神は申された。

雲に乗り、神は天に還られた。
彼は、既にその道に在りはせず、姿はそこかしこ見渡せど、見当たらず。

そして、彼は戻られた。
此処に。

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