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2009-04-04

『崩落と融和、蒼穹の下で。』


『崩落と融和、蒼穹の下で。』

目前には怨敵、振り上げた腕に輝く剣は振り下ろされない。
螺旋の道を越えて、尸踏みつけ進んだ身。
亡者の執念か、死者の遺恨か、纏う闇は紫色。
耳許で囁かれる甘言はこの心には讒言と化す。

「あろう事か!六道滅せし貴様はいか時にも天命を乞われるか!」
「無論!愚衆に絆された小僧如きが!」

却って死は生来の至福の時と見て。
抑も生とは今生にもたらされた最大の苦痛なり。
亡骸より這い出た、瘴気に心は侵されて。
慢心こそ無粋の極みなれど、唯それこそ金輪を生きる術。

「痴れ者が!不浄なる思惟を持って何を強請る気か!」
「阿呆が!唯一無二!不老不死をば越えた穢れぬ気骨よ!」
「生道とは、歩を進めん毎に汚泥を身に纏わん所業ぞ!」
「承知!だがしかし穢れ標にす山道とは何ぞ!」

欣躍すべしは他者より漏れ出、死憎病悪の類なり。
悲観すべきは不肖に起こりし、見えぬ光の展望と。
信ずるものは、自他共に在りし行いの結果のみ。
大衆の心の内など、先ず疑心より先立ちて必然。

「不倶戴天!無双の今力を以て大罰を犯せし貴様を葬らん!」
「笑止!屠られるべきは今世に落胤捺されし貴公なり!」

不意に上がる脚、銀色の軽鎧を身に付けた男は宙へ舞う。

「左様な腕で我が神体に抗おうなどと愚考を!」

転身、宙にて体勢を整えた男は一捻りし、地に足を着け
瞬時に怨敵へと突撃す。神体、その名は邪神へ姿を変えし異形の者。
既に形容し難い容貌へと変異し、頭部に蛇を誂え、胴は辛うじて人を留めるが
片腕は奇妙なことに刀剣へ、もう片腕は十指の腕が伸びていた。

「いかな"神似非"で在ろうと油断と隙は生ずものと見つけたり!」
「戯れ言を!返り討ちにしてくれる!我が神力を以て!」
「南無三!凝視すれば多様な雨霰でさえもこの身は避けきる者ぞ!」
「猪口才なぁ!然れば左様なこと為い為いさせん!」

雲海の下、白雨に呑まれながらも燦めく紅い花。
濛々と立ち上がる霧より、この風景は見えもせぬ死闘の遊戯となる。
結末を知るは、互いの根底を晒した者のみだけが知り得る。
斯くして、多寡が観客者の私らでは、当人の事実は理解の及ばぬ所である。

「葬送してやろう!冥途の果てまでも!」
「黄泉に沈めてやろう!神は全てを視覚るぞ!」

―――鳴り響くは終わらぬ剣戟の音。
―――霧が晴れ、荒野に残るは紅墨の砂と、分断された鋼の棒だけだった。

「死ね!」「去ね!」

どこまでも、いつまでも、続き行く修羅の戦。

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