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2009-04-09

『幻想の果つる先、夢と境の向こう側へと。』


          『幻想の果つる先、夢と境の向こう側へと。』

【3】


怒声が響く。

「そんなとこ呑気に歩いてんじゃねーーーーぶばっ!」

声が響いた矢先、ラグビーボール大の氷塊が俺の歩いていた山道の
表面に、数十を超えて小さな氷が突き刺さり、遅れて氷柱が二三個ほど落ちてきた。
そしてその荒行をしてのけた当の本人はと言うと・・・


頭から地面に埋まっていた。


・・正直、一体何がどうなっているのかが俺には分からなかった。
もちろん人並みには、状況理解力とかそんなのもあると思ってた。
あると思ってるんだけどさすがにこればっかりは無理だと思う・・いろいろと。

具体的に言うなら、肘から上は見事に土の中に埋没しているみたいで
足の形がなんか・・・某探偵さんの有名な
白い仮面の人の家の話に出てくるワンシーンみたいになってる。
ただ一ヶ所違う点があるとするなら・・・
アレは湖の中だけど、これは土の中という何ともアホな事になってる点・・・

「ああ、何か叫んだにしては妙な語尾だなって、うん、まあ思ったな・・・今更。」

ぼやいても仕方ないけどなっ!
どう頑張っても開いた口がふさがらないってこの事なんだろうな・・
きっと今の俺の顔ムンクだよ、ホントに両手を顔に当てて叫びたい。

「~~~~~~~!!!!」

何か喋ってるんだろうなぁ・・・これ。
でも土の中だしなぁ・・・これが何を言ってるのかさっぱりなんだよなぁ・・・
・・だからってこのまま放置をして、『里』に向かうのはな~んか自殺行為のような。
というか、助けないと目の遣り場に困るのが実情だったりしちゃう純な俺。うん、死ねばいいな。

「仕方ないから抜いてやる・・しかないよな、これって。」

そう思った俺は、その青がキーカラーとなってそうな
見つけた瞬間から俺に致命傷というか、怪我とかそういうのを負わせようとした
THE☆危険分子の両足を掴んで引き抜いた。気分はまさに「大きなカブ」状態。

「ぐへゃっ・・死ぬ゛~い゛ぎがでぎな゛い゛~・・」
「おおっ!やっとこさ抜けたよ・・ていうか死なれたら困るぞ俺。」

そんなわけで、ズポッっていう小気味のいい音を上げて地中から引っこ抜いた。
その後に酸素吸引ならぬ、外気吸引をして・・とんでもなくアホなことをしている。

「スーハースーハー!・・ううっ・・敵に助けられるとはっ!アタイとしたことが!」

ただ・・・引き抜くときに何故か凄くひんやりというか・・・いや、気のせいだろう。
アレが体温だったらどう考えても死人ってことになっちまう。
でも霊夢の発言的に、微妙にあの中に死者とか、そういう類が居そうでイヤなんだよな・・

「こらっ!お前~!アタイのテリトリーに勝手に入ってくるなー!」
「はぁ?」

いつの間にか呼吸を整え―意気は荒いが・・―俺に指を差していた。
つーかこの無駄な敵視って何なんだ?
いきなりそんなこと言われても俺としてはとりあえず、疑問系で返すことしかできない。

「こっからちょっと先にある湖がアタイのテリトリーなんだよっ!」
「・・・ちょっと・・?いや、そんな湖どころか水がある気配すら見えないけど。」
「いくらアタイが最強だからって、そんな嘘吐かなくて良いんだぞっ!」
「いやいやいや、嘘だと思うなら君もちょっと振り向けば分かるって。」

ちなみに、俺の視力は良い方だったりする。
それでも・・・現地点から周囲1キロぐらいにそれっぽいのは見当たらない。

「ふっふっふ・・アタイが最強だから背後を取ろうとしてるんだな?」
「それはない、というか俺は君のことを知らん!」
「うっそー!?マジで?最強で天才のアタイを知らないって言うの?!」
「だって俺、『幻想郷』の人間じゃないそうだし・・・」
「いや、それはない。」
「てめー!そっちこそねーだろ!どう考えても!」

無意味にほくそ笑んだり、何故か無駄に俺より優位に立ちたがったり・・・
そして、ことある毎にアタイが最強だ!、と宣う少女(で、差し支えないと思う。)
何というかここまで話してたら、凄く思うところが一つ。

「ふっふーん、アタイは天才だから嘘を見抜くぐらいどうってことないのさ。」
「そーか、それなら俺は大分早く君がバカだと言うことに気付いたよ・・・」

・・・つまりはそういうこと。

「バカって何よ!アタイはバカじゃないもん!」
「バカじゃないならせめて名前を名乗るとかしてくれよ!」
「アタイ?アタイはチルノだよ?ていうか名乗ったからお前も名乗れ~!」

・・・つ、疲れる・・・!
この子―チルノって言うそうだけど・・・―さっきの喧嘩覚えて無さそうだ。
ほんの数秒前の話題忘れるって、どんなだよ。

「ていうか名乗ったら名乗り返すって何で知ってるんだよ?」
「へ?アタイは天才だから知ってるんだぞ?!」
「はいはい分かったよ、チルノは天才だよ。」
「はっはっは、分かったら良いの。」
「ああ、俺も分かったよ・・チルノは下から一番目の(バカの)天才なんだな。」

()は言ってないぞ?一応、常識ある人間として。
何というか、口に出すのを憚られるというかその・・うん、まあなんだ。
チルノはどうやら普段褒められて無さそうだし・・・
それくらいで機嫌を直す、もとい都合の悪いことを忘れてくれるなら本望だ!

「なんかお前って良いヤツだな!アタイちょっと勘違いしてたよ。」
「いや、なんかもう分かってくれて嬉しいよ俺・・・」

ホント泣きたいくらいに疲れてる俺がそこにいた。
許されるなら、今から即座にチルノを振り切り『里』へと向かって全力疾走をしたい・・!
けど、なんかそれってフラグ的に絶対無理っぽくて出来ない・・!!
・・・・心で滂沱の嵐です。くすん。

「そういえば、お前ってこの世界の人じゃないんだっけ?」
「ああ、なんか霊夢が言うにはそういうことらしいんだけど・・・」
「けど?」
「俺にもよく分からん!俺自身に記憶はないし、ここがどこか・・って言うのは分かってるが
それでも、普通に生きていたいからな、こうやってブラブラ散歩してるんだよ。」
「へ~、色々大変なのは分かったけど霊夢って言った?」

ん?ちょっと雰囲気変わったぞ?・・分かりやすいな~・・

「言ったけど?」
「クソー!あの紅白巫女ってばアタイの偉大な姿を横取りしてー!」
「・・いや、何かよく分からんけど・・・」
「だって人助けじゃん?!だったらそれを助けた人ってもう英雄じゃん!?」

何となく理解できないこともないけど・・・ないけど・・!
あまりにもなんというか、アレ過ぎてって言うかバカすぎて・・!

「え?何で泣いてるの?あ!もしかしてアタイが良かったなって思ってるの~?」
「ああ・・そうだよ、ホント、マジでそう思えるよ・・・」

ああ、バカらしくてホント嫌いになれないな、チルノは。

「ああ、そうだチルノ。」
「ん?どうしたの?」
「湖って言ってたよな?それってどっちの方向にあるんだ?」

最初に言ってたことを思いだした。
もしかしたら、何か面白いものがあるかも知れない。
湖自体じゃなくて、その奥にある何か、が少し好奇心をくすぐった。

「それならこっちだよ?連れて行ってあげたいけど、アタイは最強だから巫女を・・!」

そう言って、『里』とは少しずれた方角を指さすチルノ。
関係ないけど、多分この調子だと毎回霊夢に辛酸を味合わされてるに違いない。
・・・少しだけだけど、霊夢の常時のけだるさの理由が分かった気がする。

「ありがとな、その先ってなんかある?」
「お前何にも知らないんだな!湖の先は『紅魔館』っていう真っ赤な家があるんだ!」

そして、口ぶりからしてチルノはそこに行ったことはない、と。
きっと華麗に追い払われているんだろうなって予測が。

「へ~、『紅魔館』、か・・・ちょっと行ってみるかな?」
「行くのは良いけど門番がいるから入れさせてくれないよ?」
「ああ、いや、見てみたいだけだからさ。」
「ふ~ん・・・変なの。」

まあ、少しだけその門番さんのご厚意があって、入れるとなったら
それほど嬉しいことはないけど、まあ、それはないだろうから見るので十分だったりする。
だってこの世界じゃ新参者だしな。

「ああっ!こうしてる間にもアタイの最強の座が!」
「揺らがねえから早く霊夢んとこ行ってこい!」
「分かった!やっぱお前良いヤツだな!アタイお前みたいなの好きだぞ!」

・・・しっかし、少し可愛いけどこれほど嬉しくない好きって珍しいな・・・
なんでだろう?考えたって理由が分かる物でもないけどな。

「じゃあな!うおーっ!霊夢ー!今日こそ息の根を止めてやるー!!!」
「・・ああ、頑張って散ってこい。」

すごく良い笑顔で敬礼してみたり。
足は既に『紅魔館』へと向かっているが、きっと俺が『紅魔館』へと着く前に
チルノは霊夢に熨されているのが、目に見えて想像できるのが・・・まあ。
それがチルノらしいといわれればどこか自然と納得できるのも不思議だ。

「ま、ホントに湖も見えてきたし、これならすぐ着くかな。」

丘から林を抜けて、かなり広い湖が姿を現した。
そして、目をこらすと紅い霧が遠くを染めていた。

「・・あれ、なんだろうな。」

徐々に近づく、赤い館『紅魔館』へと俺は歩を進めていた。


(続く)

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