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2009-08-26

『幻想の果つる先、夢と境の向こう側へと。』

          『幻想の果つる先、夢と境の向こう側へと。』

【6】



暗闇の中を、ただ俺たちはひたすら歩いていた。
・・・とでも言えば、何処ぞの本格冒険譚とかそういうのっぽくなるんだろうけど
先頭にはカンテラを携えて辺りを照らすメイドさんと、っていうか咲夜さんと
さっきから本を持って行くときには・・と魔理沙に(無駄な)説得を試みているパチュリーと
それをさらっと聞き流しつつも、またも無意味にさらっと暴言?を吐く魔理沙。
んで、それに挟まれて歩いているのが俺である。

両手に花。
なんかそんな言葉もあったかもしれない。でも俺は違うと言える。

「だからっ!せめて持って行くときには一言置いていきなさいよ!」
「ちゃんと言っているだろ?事後報告になっちゃってるのはお前が居ないからなんだぜ?」
「私が居たときに目の前で堂々と、持ち去っていったのは何処のどちら様かしら?」
「そんな時なんてなかったぜ?何しろ私が覚えていないからな。」
「・・・いや、魔理沙。さすがにそれはいろいろとマズいだろ・・」

だってさ、それならもっとウキウキドキドキハートフルな何かがあってもいいじゃん。
別段これには望み過ぎって訳じゃないとも思えるし。

「どうマズいんだぜ?」
「いや・・・どう、と言われると難しいけどさ。」
「私はね、別に持って行くこと自体には怒ってなんてないのよ?」
「落ち着けパチュリー、きっと魔理沙はそんなことを言っても分かってくれないと思うぞ?」
「怒ってないなら、私がいつ持って行っても良いと思う・・・のが間違いなんだろ?」
「てかさっきから疑問系ばっかりで、何がどうなってるのかよく分からんぞ?」
「・・・またなってるわよ・・・貴方・・・」
「・・あ。」
「「・・はぁ・・・」」

深く溜息を吐かれた。しかも同時に。仕方ないけどさあ・・仕方ないじゃん。
少なくとも、「花」とか言うならもっと楽しい話題でキャッキャウフフしてもいいと・・俺は、思う。
誰だってそうだろ?少なくとも俺はそう思うってだけなんだが。
と言うわけで、絶賛現在進行形で何とも言えない空気の中って訳だ。

「ところで咲夜。」
「どうなさいました?パチュリー様。」
「いったい何時まで、こうやって遠回りさせるつもりかしら?」
「え・・・?嘘、マジで?!」

てっきり主って言うぐらいだから、その部屋までなら結構時間がかかるものだと多寡を括ってた俺には
その言葉に驚かざるを得なかった・・・ていうか普通は驚く。
敢えて俺は普通を強調したい。何でかって言うと、だ。

「あ~・・やっぱ遠回りだったか。」

とか何とか魔理沙さんは言い出したからなのであります。
おいおい・・・ここに通常人(=俺)は一人だけなのかよ・・いろんな意味で咲夜さんはアレそうだ。
どういう意味でかなんて、そんなことは世界の崩壊よりも気にしちゃいけないことだ!

「しっかし何でそんなのが分かるんだ?」
「ああ、だってこの『紅魔館』がそんなにデカい訳がないんだ。」
「でもここ、外から見たら結構・・・あったぞ?」
「あっはっはっはっは!」

まるで魔理沙は俺の心の裡を見透かしたかのように、次いでこう答えた。

「そりゃ、歩いて来た森よりデカくて周りに比べるものがないならそう見えるだろ?」

・・・道理だな。何で俺が歩いてきたのかどうかを知ってるのは腑に落ちないけど。
それでもそれだけで納得するってのはいろいろと問題が・・・ない、訳でもない。
よくよく考えたら、そもそも俺自身にそんなことが分かるとも思えない、うん。
決して、自分が馬鹿だと認めた訳じゃない。てか少なくともあのチルノって子よりはマシだ。
ああ、それはそうとやっぱり気になった一言。

「やっぱ魔理沙って空飛べるのか?」
「飛べるぜ?魔法使いなら飛べて当たり前だろ?箒に乗ってさ!」
「ああ、なんかその理由聞いたらそれもそうだなって思えるな・・」
「・・一応、私も魔女の身ながら言うけれど、ステレオタイプってこの事よね・・・」

やはり、魔理沙は空を飛べるらしい。
パチュリーに関してはもうそんなことを訊く気すら起こらない。
だって、ずっと前から俺は歩いてるけど、さっきから歩いてないんだ・・・パチュリー。
そう、正しくは最初に訂正すべきだったんだ。パチュリーは歩いてないんだ。
うん・・・・浮いてる、とでも言う方が正しいのかな・・だと思う。

「いいじゃないか、ステレオタイプでも。そっちの方が分かりやすいと思うし。」
「だよな。物事は分かりやすいのが基本だと思うんだぜ。」
「まあ、いいけど。それなら魔理沙が魔女になるときは大変ね。」
「うぐっ・・そうだな、今度は紫色に身を包んでしわくちゃのお婆様にならないと・・・」
「いやいやいや!そこまですることはないだろう!?」
「というか色合い辺りは私への当てつけなのかしら・・?」
「いや、大事なんだ・・私にとっては形から入るのが「到着いたしました」筋・・・」

この時ばかりは咲夜さんナイス、と心の中で拍手喝采しておいた。
口には出さない、出したら隣の黒い魔法使いに何かされそうだったから。
話し始めた途端に徐々に顔に暗い影が蔓延って、姿勢が悪くなっていくんだ・・・
これで止めた人を褒めでもしたら、俺の将来は天国地獄に行ったり来たりなのは間違いない。
どっちかに固定はしない。というかそもそもあるかどうかすら謎だし。

「それでは、皆様。準備の方はよろしいでしょうか?」

いつの間にか、目的地の部屋の前・・・大きな扉の前に来ていた。
その前で、優雅に俺たちに向かって一礼をしつつ、そう述べた咲夜さん。
少し前に俺にお客人・・とか言ってたから主に俺に対してなんだろうか?よく分からない。

「ああ、いつでもいいぜ。」
「私もよ、早く開けなさいよ咲夜。せっかくのお茶会の時間が勿体ないわ。」
「俺も・・・大丈夫だと思う。」
「了承いたしました、それではこちらへ。」

持っていたカンテラを扉脇の明かり置き場へと掛け、大きな扉を開く。
ここまでの廊下は薄暗かったものの、部屋の中は不気味なぐらい荘厳で、明るかった。
ただし、人為的に産み出された明かりではなく、部屋の天井部分がガラス張りになっており
そこから差し込む―いつの間にか夜になっていたようで―真円の満月の光が部屋を満たしていた。
内装は至ってシンプル、赤い絨毯、目前に在るようで無い、長いテーブル。

そして、奥の椅子に凭れかかるように座っていた。赤く、紅い少女。
彼女を以てして、『紅魔館』は成り立っている、そう強く思わせるほどに。

―――いらっしゃい。ようこそ、我が紅魔館へ。

紅の瞳が、ただ静かに俺を見据え、そう云った・・・様な気がした。

「あら、パチェじゃない。」
「こんばんは、レミィ。今日は良い夜ね。」

他愛のない会話、と言うには些か距離がありすぎるというか・・・
一方は部屋の奥の椅子に座ったまま、対してパチュリーは入り口から数歩前に出たところから
軽くお辞儀をしながら、少女―レミィ・・?―に挨拶をしただけだ。
が、それでも何か引っかかる。見た感じ、そこまで礼を尽くしているようには見えない。

「・・・ク、ククク」
「・・ップッ、あははははは」
「え・・・?」

と思った矢先にその二人は急に笑い出した。
ちらと、ふと魔理沙を見てみると「またか・・・」と言いたげな表情でその光景を眺めていた。
咲夜さんはと言うと、ああ、なんかもうこの人完全にすごいメイドさんだよ・・・
何というか・・・「我が主の事に関しては何も申し上げません」と言わんばかりの表情で。
・・そして、反応というか理解が追いつかない分、大口を開けて呆然とする俺が居た。

「あー、楽しかったわ。」
「レミィってば、またこんなことして・・・私もちょっと楽しかったけどね。」
「たまにやると良いものね、ありがとねパチェ。」
「どういたしまして。」

鳩が豆鉄砲食らったような顔をしている俺の前で繰り広げられる、悠然の会話。
ていうかどう考えてもこのお二人さん仲が宜しいようで・・・いや、マジで。
もちろん、俺はひたすらに置いてけぼりを食らっている。
魔理沙はなんかもう慣れっこのようで、てこてことテーブルの椅子まで歩いていった。

「お客様、それではどうぞ。」
「えっと、ああ・・・分かった。」
「咲夜、早くお茶を淹れて頂戴。お茶会なのだから。」
「只今。」

言った瞬間にさっきまで俺の後ろに居た筈なのに、気付けばレミィの隣に居て
これまた、非常に様になるくらいに優雅に紅茶をカップへと注いでいた。
・・・もう、俺がボーっとしていた、だけでは済まされないだろう。

「貴方・・・座らないのかしら?」
「え、あっ、はい。」

つい動きが止まっていたせいか、彼女から催促されてしまった。
なぜか敬語で答えてしまったんだけども、理由は分からない、なぜか、だ。
射抜くような視線だったからか?それにしては殺意めいたものは感じなかった。
初対面のルーミアのような、純粋な食欲を満たすだけの獣染みたあの感覚。
それは無かった様な気がする・・・そんなことを思いつつ、俺は椅子を引き、座った。
そして、それを見計らってかレミィはカップを中空に掲げて、こう言った。

「それじゃあ、珍しくも儚い『外』の人間の来訪と。
私たち『幻想郷』での新しい出会いと、これからの幸を願って・・・乾杯。」
「「「乾杯。」」」

レミィ、魔理沙、パチュリー、そして俺は、一斉にカップを掲げて乾杯した。
・・咲夜さん?ああ、メイドですからってことで誘ったんだけど、飲んでくれなかった。
だから、その場には居るんだけど乾杯はしてない・・・ことになるらしい。
らしいっていうのは、どこかでそういう事はしているらしい、とのこと。
そんな事を、お茶会の最中に魔理沙とパチュリーが話してくれた。

そんな中、突然レミィが思い出したかのように、声を上げた。

「あら、すっかり忘れていたわ。」
「お?ついに年を重ねすぎてボケてきたのかレミィ?」
「あっはっは、面白いこと言うわね魔理沙、早速魔女にでもなりたいのかしら?」
「これ以上ないくらいに遠慮しておくぜ!」
「あら、魔法使いの割には魔女にはなりたくないのかしら?」
「まだまだ婆さんになるには早いって思うだけだぜ?紫色はそんなに好きじゃないしな!」
「・・・やっぱりそれって、私への当てつけじゃあ・・・」
「パチェ・・遊ばれてるわ、気付きなさいな。」

いろいろと思うところはあるけど・・・レミィって幾つなんだろう・・・?
魔女って死なないとなれないのかな?なんかさっきの口振りからするとそうみたいだけど・・・
でもなあ・・・女性(?)に歳を訊くのは失礼すぎるしなあ・・・困った。
しかしも何も、勿論のごとくそんな場で口火を切ったのは俺じゃなくて魔理沙だった。

「で、何を忘れてたんだ?」
「まず何よりも自己紹介をしておかないとね。」
「おいおい・・・レミリアはともかく、ここの奴は全員知ってるぜ?」
「何言ってるのよ、私たちのことは知らないでしょう?・・・・そこのお客人は。」

紅茶を飲みながら、視線を俺に向けてくるレミィ。
それを察したかどうかは分からないけど、つつつと咲夜さんがレミィに近づいて。

「・・・お嬢様、つい先ほど図書館内で名前を伝え合われたようです。」
「な、なんですって・・・・!?」

「○○・・・恐ろしい子・・・!」を彷彿とさせる所作で驚くレミィ。
何がそんなにショックな出来事だったのか、俺には何一つ分からない・・・と思ったが
単にこの和気藹々な光景を見ると、自分だけ仲間外れって言うのが嫌だっただけだと・・思う。
・・・その所為か、主としての尊厳とか、そういうのが見えにくくなってきた・・

「・・はっ・・まだよ、まだイケるわ・・・!」
「その意気でございますお嬢様。」

なにやらショックから立ち直ったのか、ガッツポーズをとりつつそう宣言したレミィ。

「それじゃあ改めて、自己紹介と行きましょうか。どうせ名前だけなんでしょう?」
「いや、魔理沙は魔法使いで、パチュリーが魔女って事とかは知ってる。」
「な、な、ななななんですってー!?」
「PART 2」
「爆誕!レミィの驚愕!!」
「・・・魔理沙・・・てかパチュリーもノってやるなよ・・・」
「あら、ついうっかり。」
「うっかりしてたんだから仕方ないんだぜ!なあパチュリー。」
「ええ、そうよ・・・うっかりだもの、仕方ないわ。」
「・・・うっかり、には到底見えませんでしたが・・・?」

咲夜さんマジナイス!
でもそれは一度間違えれば、微妙にその人たちに滅多刺しであること間違い無しの死亡フラグ・・!
さあ、どう切り抜けるんだと応援している俺は、微妙に発言してないチキン。
・・・いや、だって今何か言うと矛先が俺に向いての「GO TO HELL」ルート確定だし。
しかしそんな最中、バンと景気の良い音を立てて魔理沙が言い出した。

「うっかりに見えない、これこそが真のうっかり・・・!」
「・・魔理沙、さすがに私もそこまでは言う気にはなれないわ・・・」
「どうしてだよパチュリー!?私を裏切るって言うのか!」
「裏切り以前の問題よ、そもそも私が魔理沙に手を貸すような事態はないわ。」
「この前、地底よりの間欠泉事変の際はご一緒だったように記憶しておりますが。」
「・・・むきゅー、それはそれよ、また今とは別の話!!」
「・・・・・・・というか、貴方達。」

ひたすらに凍て付いた声が響いた。
少し騒がしかったくらいの、というか数人しか居ないのにあれだけ騒がしかったのが不思議だが
そんな状況をたった一声で覆した・・・レミィの一声。

「いったい、何時から自己紹介を始めればいいのかしら・・?」
「ごもっともだぜ、とりあえず真っ先にレミリアからすればいいと思うんだぜ!」
「魔理沙、レミィって呼んでも良いと言っているじゃないの、どうして呼ばないの?」
「そうよ、レミィが言っているんだから問題なんて。」
「そっちの方は霊夢に譲ってるんだ、私は違う方で呼ばないとな!」
「・・・そういう問題でもないと俺は思うぞ?」
「「「・・・・」」」

返事はない。と言うかあったら俺が困る。
何せ、何を言えばいいのかなんてこれっぽっちも分からんしね。

「んん・・・!」
「じゃあ、最初はレミィからかしら・・・一応、此処の主ではあるわけだし。」
「パチェ、一応じゃなくて実質的に主であることをここに表明するわ。」
「というかこういう、自己紹介とかお茶会とかするなら、妹も呼べば良かったのにな。」
「―――!!」

妹、という言葉が出た瞬間だけ、レミィの顔には何とも言えない表情が垣間見えた。
パチュリーの方を見てみればもう・・・小さく「バカ・・・」と呟いただけだった。
ある意味予想通り、魔理沙はそれがどうしたと言わんばかりに・・・分かってるけどな。
ただ、小さく。

「あの子は・・・・後で、会ってもらうわ。」

ただそれだけ、その一言だけを残してその話題は打ち切られた。
・・・俺はその子に、会うようだが・・・イマイチ、よく分からない。
ただ、少なくともその子の話題だけはここではタブーなのであろう事は・・・分かった。

「とりあえず私から、ね・・・私はレミリア・スカーレット、この『紅魔館』の主を務めているわ。
種族は【吸血鬼】、ついさっき歳を気にしていたようだけど、私自身は500を超えたぐらいかしら?」
「ええ、レミィは確かその辺りだったはずだわ。私も保証するわ。」
「・・・・え・・・え・・え?」
「そんな保証が出来るパチェってばいったい幾つなのかしらね?」
「あら、まだまだ魔女としては新米も良いところよ?」

言葉が出ない。てかマジもんの吸血鬼ってあんた・・・
長閑に笑い合ってる場合じゃないだろうに・・・てか何この微笑ましさ。
ついでに何で歳が気になってたことを知ってるんだよ・・・おかしいだろ。

「まあ年齢だなんてここ―『幻想郷』―じゃあ何の足しにもならないわ。
基本的に人間以外で、見た目で判断しない方が良いと思うわ。そんなもの、と思っておきなさい。」
「話の流れで言えば私、かしら・・改めて、パチュリー・ノーレッジよ。魔女をやってるわ。
歳だなんて野暮なことは訊かない方が良いかもしれないのには同意しておくわ。一応。
勿論、私とレミィが旧来の知己であるが故に、歳は余計に・・・ね。」
「ああ・・・それはなんかもう、訊いちゃいけないタブーなんだな。了解だ。」

恐らく、パチュリーはとんでもなく長生きなんだろうと思われる。
こんなすごい吸血鬼・・・というかレミィとここまで話せるのだから、きっと。
かく言う俺は、そんな二人の圧力に負けてしまったのだけども。

「まあ、何にしろ女の人に歳を訊くのはタブーだと思ってたし、ちょうど良いか。」
「それは殊勝な心がけだわ、是非それを貫きなさい。」
「そうね・・・無為に命を粗末にしたくないならそうした方が賢明ね。」
「さりげなく怖いことを言われてないか俺?」
「そう思っちゃう辺りが、そこはかとなく良い奴なんだと思うぜ?」

今やグッジョブ!としかねないほどの勢いでフォロー・・に回ってくれた魔理沙。
しかし、何故かそれをしないのは単に知らないからなのだろうか・・・?

「おっと、私もだな。霧雨魔理沙だぜ!魔法使いとは言うけど、実は人間だぜ。」
「・・・魔法使いも魔女もどっちも人間なんじゃないのか?」
「それは同じようで違うわね。」
「そうだな、基本的にスペックが違うというか。」
「いや、詳しいことは言われてもさっぱりだから、パチュリーその分厚い本はしまってくれ。」
「え~・・・・この辺で説明しておかないとキャラが」
「そこまでよパチュリー!」
「むきゅー・・・・少し行き過ぎたわね・・・ここは素直に謝るわ。」
「メタ的な発言はこういうときはタブーよ・・・。」

何を口走ったのかよく分からなかったが、ひとまず・・・大丈夫、か。
てかメタってなんだメタって・・・。
そう思っていたら、咲夜さんがまたも突然現れて、佇まいを整えてからしゃべり出した。

「差し出がましいようですが、それでは私も。
『紅魔館』専属メイド長を勤めさせて頂いております、十六夜咲夜と申します。
そして、もう一つ。先ほどから私に訊きたいことがあるようですが、何用でしょうか?」
「ああ・・ずっと気になってたんだけどな。」
「はい。」
「ていうか、咲夜に訊きたい事って何かしら?」
「さあ・・・?レミィに分からないのなら私にも分からないわ。」
「そもそも、主である私を差し置いて真っ先にメイドに質問って言うのが・・・」
「もしかしたら、メイドって言うものに幻想を抱いているが故なんじゃないか?!」
「なるほど、それなら納得がいくわ。確かに外の世界にはそういうヒトが溢れていると聞くわ。」
「確かその辺のはパチュリーが詳しかったよな?」
「いやよ、いくら”ああいうもの”があるからって、それを直接だなんて・・・」
「ちょっとさ、俺が訊きたいんだから少し静かにしててもらえるかな?お願いだから。」

無駄な方向性に話が展開するところだった。
というか俺が個人に訊くだけで、そんなに話題性のあることなのかと俺は驚くしかなかった。
むしろ、なんか妙な世界のことに詳しいなと。
・・・・パチュリーが持ってるというその系統のは後で見せてもらおう。何かと。

「・・それで、何をお訊きしたいのでしょうか?」
「ああ、うん。咲夜さんってさ・・・瞬間移動とか高速、光速移動とか出来るの?」
「・・・言い得て妙だと思われます。しかし、瞬間的に移動しているわけではございません。」
「?・・どういうこと?」
「『幻想郷』の住人殆どに言えることですが、誰もが何かしらの能力がございます。
私の場合、それが単に【時間を操る程度の能力】であったまでのこと。
メイドの仕事を致す際にはとても重宝しておりますので、普段より使用しております。
ご理解いただけましたでしょうか?お客様。」
「なんとな~く分かるような分からないような・・それでもやっぱよく分かる話だな。」
「どっちだよ。」
「それが分かれば苦労なんてしないと思うんだ。うん。」
「・・・ああ、何となく言わんとしてることは分かったぜ。」
「ありがとう。」
「どういたしましてなんだぜ。」

いつもながら良い笑顔で返してくれる、が、俺として複雑だった。
何そのとんでもワールド。一人一つのワンダフルな能力持ちだと・・・?!
おいおい・・・それじゃあその内に山田とか内田が出るかもしれないって事か・・・?!
とてもそうは見えない神父とか、そういう可能性が・・・・

「何を考えてるかは分からないけど、その考えはたぶん違うと言わせてもらうわ、ええ。」

・・・きっと、俺は顔に出やすいタイプなんだ。
そういうことにしよう・・うん、まあ良かったじゃないか、自分のことに気付けて。
ただでさえキオクソーソツとか何とかファンタジー真っ盛りな状態なんだ。
自分のことが知れただけでも僥倖というかそういう事じゃないかHAHAHA。

「それで、貴方の名前は何なのかしら?」
「いやー・・・出来れば答えたいところなんだけどさ。」
「?」

思い出したかのように、レミィは口に出して・・・俺はどもった。
それでいて、頭にクエスチョンマークを浮かばせられるなんて、なんて器用な真似を・・・
とりあえず説明をしなければ。またかと言いたいけれどな。

「レミィにも「ちょっと待って。」て・・どうした?」
「私は貴方に、その呼称で呼んで良いなんて言った覚えはないわよ?」
「いや、だって名前知ったのはついさっきのことだし、その前からパチュリーが・・・」
「パ~チュリ~~・・・・?」
「ひゃひぃっ!・・何にも、何にもしてないわよっ!」

いくら何でも怯えすぎだと思うのは気のせいか。
あ、でもこれは明らかにパチュリーの所為だって思うのもまた事実な訳で。
・・・どっちにしろ、今のレミィが怖いことには変わらないけど。
でもさっきのパチュリーは可愛かったけど。

「ただちょっと・・前にレミィが話してた通りの子が来たから、その・・・」
「良いわ、ちょっとした出来心だって言うのね・・分かったわ。」
「あ、じゃあ・・・・」

少し、パチュリーの顔がほころんだ。
何らかの温情とか、そういうのを期待したんだろうけど、がしかし。
パチュリーには地獄が待ち構えていたようだった。

「ひとまず、ドッキリ仕掛けましょうね♪って言って持ち掛けたのは私なのに
先のそのネタバレをした罪と!お茶会前に私の名前を・・それも愛称を言っちゃうだなんて・・
いったい全体一切合切、私の友人を何年しているのかしら!?その辺の制裁を含めて・・・1つね。」
「分かったわよ・・こうなったら私も少しは抵抗しないとマズいわよね・・・!
小悪魔!小悪魔!!こっちにいらっしゃい!!いるんでしょう?」
「は~~~~~~~い♪」

一頻り言い切ったと思えば、パチュリーが誰かを呼んだらしい。
少し遅れて聞こえてきたのは少し甘ったるい声をした桃色の長い髪を持つ少女だった。
もちろん、名前の通り背中には黒い小さな羽が一翼、ご丁寧に尻尾まで着いていた。
・・・まさにどう見ても小悪魔スタイルだけど、かなり可愛い方なんじゃないかと思う。

「小悪魔、メルキセデクとネクロノミコン持ってきて。」
「りょ~かいです~♪」
「ふんっ!今更そんな悠長に待ってあげるほど私は優しく無いわよっ!」

小悪魔が部屋を出て行った後、パチュリーはすかさず持っていた本の栞を挟んでいたページを開き
ぶつぶつと、呪文らしきものを唱え始めると足下に魔法陣が浮かび上がった。
そして、相対するレミィとは言えば、いつの間にか拡げていた闇い翼をはためかせ
部屋の上空へと飛び、右手を掲げていた。

「久しぶりだけど、こういうのも偶には良いかもね!」
「ええ、久しくこういう事がなかった気がするわ・・・レミィとするのは何年ぶりかしら?!」
「きっと・・・そんなのも気にならないぐらいずっと!」
「「前ねっ!」」

そして、大きな力が放たれようとしていた。
・・・もちろん、そんな大舞台を目の前にして俺がそこにいる訳が無くてだな。
ちょっと前にパチュリーとレミィが言い争った辺りから、咲夜さんがそっと肩を掴んでくれて
少し離れたところに避難しているけど、それでもここからだとよく見えるのは・・・・
やっぱ、咲夜さんなりの心遣いとかそういうのなんだろうか・・・?

「行くわっ!【獄符「千本の針の山」】!!!」
「甘いわっ!【土水符「ノエキアンデリュージュ」】!!」

レミィからは数千にも及ぶであろう紅き針弾が、これでもかと投擲され続け
パチュリーはそれらを相殺するかのように、塊ずつ当て、少しずつ消していった。
見ている俺はすっごくドッキドキものである。つーかぶっちゃけ怖い。
ただ、分かるのはこれだけやり合っているのにも関わらず、当人たちは笑っていること。
・・・つまり、本気でなんてやり合っていないことは明白だった。

――だからってここまでしなくても良いんじゃね・・・?

・・・な~んてことは、とりあえず思ったりしちゃいけない。
つーか思うだけ言うだけでもなんか、死にかけそうな気がしてならないから。

「おっと、これは私も参加して良いって事なのかっ?」
「待て魔理沙、お前はいったい何をするつもりだ!?」
「弾幕はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!パゥワァァァァァァァだぜええぇぇぇぇぇぇっっ!!」

箒の上に立ち、桃白白さながらの格好でかめはめ波を撃つような・・・
と思ったら両手の中で何かを握り締めてってなんかすごく光って・・・ええっ!?

「とりあえずぶっ飛べっ!!【恋符「マスタースパーク」】!!!」

ガゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォンンンンン!!
という、凄まじい爆音を轟かせながら魔理沙から放たれた超極太レーザービームは
レミィとパチュリーの弾幕をこれでもかと言うほど無効化し、さらにそれだけに止まらず
勢いはまだ潰えぬようで、天井をぶっ放し、空に一筋の大きな光の柱を立てるまで、となった。
もちろんかなり間近で見てた俺には、異常とも言えるほどの眩しさが襲ってきていたが
そんなのどうこう言う前に、いろいろと言いたいことがあった。

・・・・・・
・・・・
・・

「で、俺はいったい何をしに来たんだっけ?」

すべてが終わった後、魔理沙が放った恋符「マスタースパーク」がもたらした惨劇の跡地で。
俺は一人、立ちつくしていた・・・三人を土下座させたその前で。

「悪気はなかったわ。」

そう、未ださっきの毅然とした態度で何が悪いのと言わんばかりにレミィは言った。
まあ土下座してる所為で威厳も何もあったものじゃないけど。

「無かったのなら余計にタチが悪いと思うのは俺だけか?」
「ここまでそうなるとは思わなかったわ。」
「いや、明らかにパチュリーはあの状況を楽しんでいただろう?」
「ちょっとしたスキンシップじゃないか。」
「魔理沙、お前は少し自分のやったこととかそういうのに詳しくなろうな?
ていうか自分の胸に手を当ててよ~~~~~~っく考えてみろ、普通に考えてその発想はおかしい。」
「わたしは~・・・帰ってきたらなんか、全部壊れてました~えへへ~♪」
「小悪魔ちゃんは無実だと俺は言いたい。」
「「「それは横暴だ!!」」」
「お前らどの口でそんなことが言える義理だこの野郎!!!」

咲夜さんは何も言わずに、壊れたものの修理や補修作業をしている。
この件に関しては主人を守ろうとか、そういう考えは起きないようだ。起きても困るけど。
俺じゃあきっと咲夜さん相手に弁舌で勝てる気なんて・・・起きない。

「・・でも仕方ないわ・・・だって・・・」

そして、そんな中さらっと微妙に哀愁を漂わせながらそう呟いた。

「だって・・・?どうしたんだレミィ?」
「・・・運命だもの。」
「・・・・運命かあ・・・」
「運命なの・・・それは仕方ないわね。」
「待て、待ってくれ。そこまで運命なら信じられる理由って何だ?」
「私は運命を操れるのよ?それならこういう結末だって分かってるから問題ないわ。」
「ほほぅ・・・・・ほほぅ・・・・?」

やたら自信満々に(無い)胸を張って言い切るレミィ。
というか、その理由だとどんな物事でも、ご都合主義的にそれでどうにかなっちゃうじゃないか・・
・・・うん、でもな。

「それなら、その結果を変えようとかするのが・・・普通やるべきことじゃね?」
「他にも結果はあったんだけどね・・・でも。」
「でも?」

そして、俺は脱力する他無かった。

「この結末が一番楽しそうに思えたんですもの。」
「・・・サイデスカ。」

俺の明日はどっちなんだろう。
というか、この人たちにまともな思考とか期待したらダメなんだろうか。
ついに俺はダメ人間~ズに入っちゃうんだろうか、三人ほど人間じゃないけど。

「あ、そうそう。」
「ん?」
「貴方の名前が分からない理由も分かるわよ?」
「・・・はっはっは・・・それを先に言ってくれよレミィ・・・マジで・・・」

本気で頽れた。というか実際「orz」状態。
どうしてこう・・・いや、もういい。
なんか・・・もっと気楽に生きれば良いんだよな・・そうだよなビバ『幻想郷』!

「で、どうしてなんだ?」
「そうねえ・・一つは【貴方が『外』の人間であること】がまず、大きいと思うわ。
もう一つは【貴方が異常事態に巻き込まれ、ここに来た】か、ということね。」
「なんとなく、それだけでも分からなくもないな。」
「ええ、そういう風に言っているんだもの。当然でしょう?」
「はい、お嬢様。」

いつの間にか控えて頷く咲夜さん、補修作業はどうしたのと訊いたら
そんなものは後でやります、との言。うん、やる気がないのかあるのか分からんぞ?
というか極端というか何というか・・・自分ですることはちゃんとする人なんだろうなと。
つらつらと思いつつ、俺はさらに気になることを訊いてみた。

「それで・・失った原因はともかく、思い出すにはどうしたら良いかな?」
「分からないわ。とりあえず当面を過ごす上で仮の名前でも付けたらどうかしら?」
「それには概ね同意するわ。いつまでも「貴方」だなんて呼ぶ気はないわ。」
「私もそれは同感だな。思い出したらそっちで名乗れば良いだけだしな。」
「・・・そう、だな。俺は・・・」
「偽名と、仮名と分かってても、安易に名前を付けてはダメよ?」

自分の名前かあ・・・と脳天気に考えていたそんなとき。
卒然、パチュリーが言葉を漏らした。無論、俺は気になって訊き返した。

「それはどういう・・・?」
「名前はその人を表す一種の象徴であって、また存在を固定するための楔よ。
これを蔑ろにすると、貴方自身の「何か」が失われると思っても過言ではないわ。」
「そういうことか。」

一瞬、頭の中で山田太郎とか考えてしまった俺が恥ずかしいとか思ったりもするが
逆にその名前ってありそうで無いという微妙な名前なんだよな・・・。
どこかに有り触れて居そうで、しかし居ないというか会ったこと無いような気がする。
逆に凝った名前の方がありそうと言うか何というか・・・不思議としか言いようがない。

「それじゃあ・・・名前だけ、あればいいと思うんだ。」
「そうね、ひとまず呼び名だけでもあれば十分変わるわ。それだけでね。」
「ありがとなパチュリー。」
「どういたしまして。」
「・・ねえ、二人で盛り上がってるところ悪いんだけど、私の事忘れてないわよね?」
「「全然。」」
「・・・・・なら・・・・良いんだけど。」

少しだけ記憶の隅に追い遣られていたのは黙っておこう。
そんなわざわざ愚の骨頂犯してまで、この身を危険に晒すものでもないし?
ていうか俺はそこまでMって訳でもないし?望みなんてしないしな。

「それなら、運命を操れる私の出番じゃないかしら?」
「それはお勧めするわけにはいかないわ。断じて。」
「あら・・・それはまたどうしてなのかしら?」

妙な迫力があったのは決して・・・錯覚じゃないと思う。
今まであまり動かなかったパチュリーの眉がこの時だけ、キュッと動いたのだから・・・うん。

「お嬢様、また・・・おやりになるつもりですか?」

そして咲夜さんの鶴の一声。
そして凍り付くレミィの背中。
そして、まるで大氷穴の中にでも居るのかと思えるほどの空気が漂う。

「・・いえ、やめたわ。」
「そう、まさかレミィは従者の一言で矛を収めるほどのチキンだとは思わなかったわ。」
「客人の身分でお迎えしているとはいえ、あまりに行きすぎますと私も手を出さずには・・・。」
「「ごめんなさい。」」

そんなシュールな光景を見て・・・否、見せられて・・・・

「・・・なあ、あんたらの主従関係ってどうなってるんだ・・・?」

ふと、俺はそんな一言を漏らした。
だってどう考えてもおかしいというか、ぶっちゃけ変っていうか・・・
そんなときに魔理沙がそっと耳打ちしてくれたのが

「それは『紅魔館』最大の謎だから誰にも解けないんだぜ。」
「ああ、なるほど・・・そういうことか。」
「ああ・・・そういうことなんだぜ。」
「何をどう理解したのか訊かないでおいてあげるけど、たぶん何かが間違ってるわ・・・」

半眼で呻くパチュリー、いや・・もともとジト目っぽいから半眼かどうかが怪しいけど。
どうやら叱られていた二人の方もどうやら決着がついたようだった。
・・・主にメイドさん咲夜さんの一人勝ちという・・何とも言えない結果に。
ふと、さっきの会話で気になったことがあったのでパチュリーに訊いてみた。

「なあパチュリー。」
「何かしら・・・何度も言うけど、さすがに歳なんて訊かれても答えないわよ?」
「いやいや、それは訊かないけどさ・・・レミィに名前を任せない理由って・・・」

少し考えたような素振りを見せた後、サラッと。

「あ~・・レミィってね、ネーミングセンスがこれでもかと言うほどにアレなのよ。だから。」
「何を言うのよっ!!」

机を―ここじゃテーブルを―バンと叩いてレミィが主張する。

「あれだけ威厳に溢れて格好良い名前も珍しいくらいだと思わない?!」
「よっし!じゃあ答えてくれ!魔符「全世界ナイトメア」の何処が格好良いんだぜ?」
「また魔理沙は要らん茶々を・・・いや、だからこそなのか?」
「いや、別に私はそう言う認識をされるために言ってる訳じゃないんだが・・・」
「ストレートな分、レミィより魔理沙の方が格好良いときが多いわね・・・ええ。」
「お嬢様、さすがにこれは少し分が悪いかと・・・」
「ねぇ味方はっ!?私の味方は居ないのっ!?」
「「「・・・ゼロ、なんじゃないかなあ・・・」」」

見事に倒れ伏すお嬢様。その名はレミリア、『紅魔館』主にして・・・・吸血鬼。
ああ! なさけないれみりあ こんなところで たおれてしまふなんて!
・・・おっと、妙な天の声が。
まあ、いいか・・・そろそろ、考えてた事も決まったしな。

「瑠為、とでも呼んでくれたらいいか・・・な。」

ほんの一言ポツっと漏らしただけなんだけど、なんでこうも静まりかえるかな。
ていうか特に、後ろの方で踊ってただけの小悪魔ちゃんが動きを止めている・・・・!
そんなに驚くことだったんだろうか・・・何か不思議だけど。

「ああっと済まないぜ、いきなり言うものだからちょっとな。」

ブンブンブンッ
魔理沙だけは現実に帰ってこれたようだけど、後の二人がダメすぎる。
ていうか、パチュリーとレミィが魔理沙の意見に首肯するように頷いていた・・・
・・咲夜さんが数に入ってないのは、そもそもこの人が驚いたかどうかが分からなかった。
だって、言う前と言った後の違いが全然分からないんだもの・・無理じゃないか・・これ。

「じゃあもう、難しいこと言わずにルイっていっとけばいいんだな?」
「ああ、そんな軽い感じで頼むよ。」
「まあ・・・言いやすいから特に何も問題はないわね。」
「レミィが心配するところは韻だけなのかしら・・そこはかとなく不安だわ・・・」
「それでは、ルイ様。」
「はい、なんです?」

そして、優雅なお茶会は終幕を迎えることになった。

「当『紅魔館』に居られまする、もう一人の関係者に会っていただきます。」
「咲夜っ!!あの子には会わせないという話じゃなかった!?」

そして、その一言にレミィが激昂した。
瞳は先よりも深紅に染まり、黒き翼が惜しげもなく広げられていた。
まるでその一言が本当の禁句であるかのように、ついさっきの情景が蘇る。

「可能だと判断しました。きっとルイ様は”飛び”ません。”飛ば”されないと思われます。」
「・・・いいわ、折角の楽しい客人、”飛ぶ”事の無いようにしなさい。」
「えっと・・・”飛ぶ”って何?」

専門用語っぽいと訳が分からんなあ・・・ホントに。
勿論、こんな時にも頼りになるのは出来るだけ軽く答えてくれそうな魔理沙だけど。

「へ?そりゃあ・・・・”飛ぶ”って言ったら・・・」
「言ったら?」
「空を飛ぶか、意識が飛ぶか、物が吹っ飛ぶか、それか・・・意味的に死ぬ、かな~・・・」
「あ~・・そうかそうか、死ぬことか~。」

言いながら紅茶を飲みつつ、スコーン(プレーン)を囓りつつ幾つかを袋に詰める。
・・・後半やってることは、たぶん軽い窃盗なんじゃないかなと思ったけど・・・
まあ、魔理沙だし特に咎める必要も何も感じなかった。
てかむしろ、その意味に驚きすぎて何も口に出せなかったというのが正解。

「って俺死ぬのやだよっ?!」
「大丈夫です、そんなものは行かなければ分かりません。」
「分かるじゃん!?どう考えてもなんかその人怖いよ!?」

咲夜さん、それは良い笑顔で言って良い台詞じゃないです。
というかなんで貴方はこうも時々、気合い論で物を語るのデスカ?

「ん~・・・きっと咲夜が大丈夫と言うからには大丈夫なのよ、ねえパチェ?」
「確証は持てないけど、今までよりは遙かにマシとは言えるかもね・・」
「えと、俺の生き死には確率論で語られるの・・・?」
「あら・・?絶対とは言ってない辺り優しいとは思わない?」
「・・・・スミマセン、オレガマチガッテマシタ。」
「よろしい。」

何でそれで上機嫌に紅茶を啜れるのかが俺には分からない。
・・・えっと、それで、この流れは・・・

「では、こちらになります。
諸事情で、地下に隔離、幽閉しておりますがお気になさらないでください。」

・・・それ、どういう神経をしてたら気にならないのか知りたい。
さっきからの話で、なんかウズウズしてたのか魔理沙も着いてくるようだ。
と、思ったら結局ここにいるメンバーは殆ど着いてくるとのこと。(咲夜さん談)
一人で行かなくて良い分・・・まだマシと思うことにしよう。

そして、俺たちは『紅魔館』最上階の主の間から、地下に向けて歩き始めた。
・・・・まあ、なんというかメンバーがメンバーだからか、少し・・・・

「そういえばここ最近、アイツに会ってないんだよな~、元気にしてるか?」
「ええ、曇りの日で調子が良いときは結構どんちゃんやってるみたいよ。」
「おかげで夜中に集中して本が読めないの・・・むきゅ~・・・」
「いや、パチュリーは少しぐらい寝た方が良いと思うぜ・・・?」
「知識はいつどれだけあっても、別段困る事なんて一つもないのよ・・・?」
「・・違う、私が言いたいことはそうじゃなくてだな!」

――訂正、かなり騒がしく、地下に向かっていた。


(続く)



あとがき、だったらいいよね。



はい、何ヶ月ぶりぐらいの更新になるんでしょうね、これ。
そう言うわけでこんにちは、蹈鞴です。

いつもよりクソ長いストーリーでお送りしております。
あとレミィとかパチェとか咲夜さん好きな人にはごめんなさいしておきます。
私の中では本当にああいう抜けたテンポで会話しているのです。

とりあえずあと一回、【7】で紅魔郷編は終了します。
そう言う訳なのでこの辺りでちょこちょこと注釈(にはなってない説明とか今後w)

魔理沙に関しては結構メインで出ると思います。
私自身が好きなのもあるんですけど(ソートランキング10位)・・・・
結構、彼女自身は凄く好奇心旺盛で常に動き回ってるイメージが強いです。
その場その場のノリだけで動いてるというわけではないけど近い感じですねw

そして不遇扱いパート1,中国という名前の紅美鈴。
・・・・・好きですよ?wと言うかかなり好ましく思ってます。
なんというかカップ的に咲夜さん=世界めーさく劇場しか思いつかないのが難ですが・・・
紅魔館来訪時にはちょこちょこと出番があったりしますw

ロリ要員ルーミア。
・・・ええ、個人的に大好きなのでいろんな意味で分かりやすいフラグ立てました。
・・・・・・・・・・・・次をどうするか全く考えてn(ry

あとはもう・・・・言わなくても出番アリアリな方ですしねww
レミィとパチェ、咲夜さんは結構セット。こぁはどうしようかな・・・使いにくいwww


そして最後に。
長い理由・・・普段書いてなかったというのもありますが・・・
問題は普段テキストに書きためてるんですけど
この時ばかりは32kbとか言う、阿呆みたいな数字が見られたのでよしとしますww←?



それでは、次回もお楽しみ下さいませw
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